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バイバイと手をふって、逝った兄

      2016/06/20

山本(旧姓村井)智子

あめの紫陽花

5月26日、福高15回卒の年子の兄がこの世を去った。

11年半前に膵臓癌の手術を受けインシュリン生活に入ったが、酒好きの兄は「インシュリンの量をうまく調整すれば、糖尿を心配せずに飲めるんだ」とますます酒を楽しんだ。

弟は兄や私と違って全くの下戸である。

飲兵衛の兄は「さて、さっきインシュリンを打ったやらどうやったやら・・・」と、夜が更けるにつけだんだん怪しくなる。

酒が飲めない弟は介護役としてうってつけだった。

兄と旅行好きの弟夫婦は、この10年世界中を旅した。

「智子は付き合いが悪い!」と言うので、兄弟3人でタイに行ったこともある。

私と弟は2歳違いで、年の近い三兄弟は仲がいい。

兄の口癖は「智ちゃんと飲んで議論するのと、明ちゃん(弟)と釣りに行き旅行するのが一番の楽しみ!」

 

そんな兄に10年も影を潜めていた癌が肺に転移した。

それでも兄は「運がいいことにやられたのは右肺だけ」と酒を酌み交わし、抗癌治療の合間を縫って海外旅行を楽しんだ。

しかしとうとう昨年末に余命宣告を受け、その後骨への転移も判明したが、兄嫁は自宅での介護を決めてくれた。

在宅医や介護スタッフの支援を受け、驚異的な生命力で半年以上頑張り続けた兄がついに力尽きた。

亡くなる前夜、近くに住む二人の子供を呼び、「たった二人すいかの兄弟だから、これからも仲良くやっていってほしい」「みんなありがとう」と握手をし、バイバイと手を振ったという。

その後兄嫁とは夜遅くまで話し、夜中の3時にスイカと小豆アイスを「美味しい、美味しい」と食べたそうだ。

翌日兄はこの世を去った。「今日が最後の夜」と予感があったとしか思えない。パナマ帽

亡くなる4日前に72歳の誕生日を迎え、兄嫁が庭で栽培した山盛りのバラの生け花の前で、子供たちから贈られたパナマ帽を被りうれしそうな兄の写真がFBに載った。

亡くなる前日の兄嫁のFBには、車椅子で散歩をした時兄嫁がカメラを向けると、やせ細った体を起こしニッコリ笑ってVサインポーズをとる兄の姿があった。

「頑張れ!兄ちゃん!」とパソコンの前で泣いた。

その翌日の訃報である。

 

「みんなありがとう」「じゃあね、バイバーイ」と人生の最後を締めくくった兄。

まだ悲しみの中にあるものの、そんな兄が誇らしく又うらやましくもある。

今私のパソコンのデスクトップ画面には、頬杖をつき満面の笑みを浮かべたほろ酔いの兄がいる。

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