いつからか銀翼に恋して Vol.5 野外飛行訓練
2017/04/23
飛行計画書を作成
目的地が決まると、まず気象情報を集めて雲の影響を受けない有視界飛行が実施可能かを判断したのち、有視界航空地図を広げて基地から目的地の間に数個の変針点となる地点を選び、各々を直線で結んでコース方位、区間距離を測るとともに、コース周辺の山や障害物の高さをチェックして安全で無理のない飛行高度を選定、飛行計画書を作成してゆきます。
巡航高度は衝突予防の観点から、1000ft.(300m)毎に南北の線を境に東行きは奇数、西行きは偶数高度とし、有視界飛行方式(Visual flight rule )の場合は更に+500ft.の高度を飛行するようになっています。
この飛行では、山や障害物の高さなどを総合的に考慮して、東行区間を7500ft.西行区間を6500ft.として上空の予想風、温度をもとに保持すべき磁針路(機首方位)、区間飛行時間、消費燃料を求め飛行計画書を完成させました。小型機は通常、主翼の中にある燃料タンクを満タンにしますので飛行可能時間はおおよそ5時間となります。
飛行場の視認が遅れドキッ!
機体の飛行前点検を終えるといざ出発、離陸時間をメモし、目視で航法発動点に定めた物標である飛行場そばの貯水池に向かい、そこから予定の磁針路、高度、速度(概ね1分で3.5㎞飛行、ジェット旅客機の場合は約15㎞)を保持して次の変針点を目指します。
飛行中は空中衝突を避けるよう常に外部見張りを行いながら、地図上の飛行経路と地上物標(道、線路、川など)を比べて予定通り飛行しているのか、はたまた風に流されコースを外れていないかチェックし自分の位置を見失わないように気を配りながら、変針点上空を正しく通過して目的飛行場を目指します。
目的地が近づくと、予め計画した地点から降下を開始し飛行場を探しますが、生憎、山の陰になって視認が遅れ、予定より高い高度で飛行場の上空に来てしまい、少々慌ててしまいましたが、飛行場管制塔の許可を得て進入経路を調整し、目的地に無事到着しました。
パームスプリングスでコーヒーブレイク
「ロストポジション」を想定した訓練も
途中、雲に覆われて自分の位置を見失った(Lost position)という想定で、外部を見えなくするフードをかぶり計器のみでしばらく飛行したのちに、それまで飛んできた磁針路と飛行時間、航空地図から位置を割り出す作業や、エンジントラブルで不時着する訓練、舗装のない不整地で離着陸する課目をこなしブライス飛行場に着陸。FAAのサービスステーションでサンディエゴまでの気象情報をチェック、問題ないことを確認して出発、飛行計画通りコロラド川に沿って南下したのちアリゾナ州ユマで西に変針、メキシコ国境沿いに飛行を続け基地出発から約4時間後にブラウンフィールド飛行場に帰投、単独での野外飛行も問題なしとの認定を得ることが出来ました。