私とリクルート、江副さん Vol.3

      2016/09/19

小野塚 満郎

◆連載エッセイ Vol.3

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★東京・丸の内今昔

江副さんの深謀遠慮?

 私がリクルート、江副さんの事を書き留めておきたいと思った要因はいろいろですが、最も大きなできごとは私の人事異動にかかわることです。

 1963年江副さんが㈱日本リクルートメントセンターを創設以来、急成長したリクルートはその急成長の歪がつねに存在する会社でした。
 私は1969年に入社、2か月間は福岡営業所、6月から東京へ異動となり営業部に配属されました。営業相手は企業の人事部で、大手商社10社、都市銀行、非鉄金属といった、大手町、丸の内を本社とするスポンサーを先輩から引き継ぎました。
 営業を3年半、成績は良い方でした、後半はトラブルも起こしましたが。営業職が一段落して、鹿児島は志布志の牧場兼農場へ研修に行き、終わってNビルの営業部のフロアに戻ったところ、上司から『君は明日から経理部だ』と言われ、呆然としたのを覚えています。すぐ経理部長が来て、君に頼みたい仕事があると4千万円の未入金リストを渡され、『回収してくれ!』と一言。これが、私のリクルートでの、トラブル解決担当=成長歪解決担当の始まりでした。江副さんが亡くなるまで続きました。この人事の背景に、江副さんがいたのではないかと、憶測しているのです。

未入金回収――たった一人の特命係

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 そして、部長が誰か回収に専任できる者はいないかと、江副さんに相談したのではないかと、そして私に白羽の矢が当たったのではないかと思います。
 4千万円の未回収の売掛金は、不良売掛金ではありません。未回収の会社の経理部を訪問、請求と入金をチェックさせていただき、未回収分を再請求して、短期間で回収した記憶があります。この時、嫌いになった会社があります、ダイエーです。やはり急成長していた会社で、大阪本社の経理を訪ね照合を依頼したところ、門前払いだったのです、相手にされませんでした。

 人事異動で経理部へ行っての大きな変化は、給料が倍になったことです。なんと月に残業が70~80時間、そう、毎日3~4時間の残業があったのです。若い男女が猛烈に働く要因の一つだったと思います。営業マン時代、残業はゼロでした。

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