ギリシャの光芒

      2016/09/19

ルビー婚 ★ エーゲ海クルーズとギリシャ10日間の旅

田中 功也

 ヨーロッパは観光シーズンの夏を避け、新緑の5月に行くのがよい。結婚40周年の一昨年5月、憧れのエーゲ海2泊3日のクルーズを挟む、全行程10日間のギリシャ旅行に出かけた。出発は13日の深夜。トルコのイスタンブールで乗り継ぎ、翌朝9時アテネ着。面積は日本の3分の1だが、見所は多い。

聳え立つ奇岩の上の修道院/メテオラ

%e3%82%ae%e3%83%aa%e3%82%b7%e3%83%a3%e7%b4%80%e8%a1%8c%ef%bc%91 旅の3日目、中部のメテオラに聳える奇岩群の頂に建つ修道院へ。14世紀、セルビア人の侵攻を機に修行者達が戦乱を避けて移り住み、最盛期の15~16世期には修道院の数は24にも達した。代々国王の保護を受け、ギリシャ正教の聖地として発展してきたが、現在人が住むのは6つのみ。空身で登るのも難しい柱状の岩山の頂に、車もクレーンもない時代にどうやって資材を運び上げたのだろうか?
20世紀初頭まで岩山には階段も梯子もなく、人や生活物資を運ぶ手段は滑車に吊るした網袋だけだった。今は車で行けるアギオス・ステファノス女子修道院。中は狭いが、570mの岩山からのカラバンカ村の眺めは絶景。ヴァルラーム男子修道院は、16世紀中頃のフレスコ画がすばらしい。昼食はギリシャ名物のスプラキ(肉の串焼き)。なかなか美味である。ワイン、ビール、ソフトドリンク、水はどれも3ユーロ。この日のレートは1ユーロ=156円だから、470円程か。  ★写真はメテオラの岩山の上の修道院

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★ミコノス島 カト・ミリの丘の風車

エーゲ海クルーズと蒼い島サントリーニ島

 旅の4日目の昼、アテネ郊外ピレウス港からエーゲ海クルーズに出発。船は3万8千tのルイス・オリンピア号。乗客は1400人。船内チップが1日8ユーロ、3日間2人で48ユーロ。冷房が入る船内は寒いが、プールデッキではトドのように太った白人がごろごろ日光浴を楽しんでいる。
航海すること5時間半、エーゲ海一のリゾート島ミコノス島へ。風を遮り、海賊を迷わす複雑に入り組んだ街並み。カト・ミリの丘の6つの風車小屋に夕日が落ちて、これぞギリシャ!!の風景を満喫する。
 5日目の朝、トルコのクシャダスに入港。14世紀の城塞がある。バザールをいくつか覗いてトルコの雰囲気を味わい、海辺のカフェでコーヒーを楽しむ。2時、ピタゴラスの生まれたサモ%e3%82%ae%e3%83%aa%e3%82%b7%e3%83%a3%e7%b4%80%e8%a1%8c13ス島を通過し、夕方パトモス島に上陸。小さなスカラの街を散策。夜、船内のシアターで演じられたギリシャ神話の劇には10分で退散する。
 6日目は、朝食後クレタ島に上陸。タクシーでクノッソス遺跡へ。好天続きで暑い。長い間神話の世
界の話と思われていた3700年前の宮殿が復元され、色彩豊かな壁画が美しい。兵庫県と同じ広さのギリシャで一番大きな島。
 夕方、船を離れ、アトランティス大陸と関わりがあるといわれるサントリーニ島に上陸。有史以前から何度も繰り返された噴火によって島の半分が海に沈み、現在の三日月形の島になったという。

 中心の街フィラは、高さ300mの赤茶けた断崖の上にあり、びっしり建ち並ぶ真っ白な家々はまるで雪が積もっているように見える。紺碧の海に映えて、実に美しく感動的である。日が落ちて明かりが家々に灯る頃のフィラの風景は夢の世界、夢中でカメラのシャッターを押し続ける。

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★サントリーニ島の中心フィラの街 Day & Night

 7日目、島の北部の街イアへ。蒼い海、青いドーム屋根の教会、風車、白い壁の家々、すばらしい写真がたくさん撮れて満足! ところがワイナリーを訪れたとき、突然一眼レフのシャッターがおりなくなる。SDカードが損壊。原因不明。昨日からの写真がすべてダメになり、天を仰いで落胆。

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★左:サントリーニ島北部の町イア 右:サントリー二島 青いドームが見える風景

アテネと近郊の遺跡

mini_140521_1446 9日目、混み合う時間帯を避け、朝一番にアクロポリスの丘に登る。パルテノン神殿へ。ドーリス様式の最高峰といわれ紀元前438年頃に建てられた。真っ青な空に白い神殿が映える。世界で最も古い街アテネが一望の元。オリーブの林が丘を覆い、街にはジャカランタの藤色の花が満開だった。%e3%82%ae%e3%83%aa%e3%82%b7%e3%83%a3%e7%b4%80%e8%a1%8c12丘の麓のギリシャ最大級のゼウス神殿跡へ。104本あったコリント様式の柱は、現在15本を残すのみ。

 午後は、エーゲ海を左に見ながらのドライブを楽しむ。コリントス運河を渡り、ペロポネソス半島のエピダウロス遺跡と、ミケーネ遺跡へ。ミケーネは、1876年ドイツのシュリーマンによって発掘され、神話の世界のできごとが歴史的事実と分かり、世界を驚かせた遺跡である。アトレウスの宝庫(陵墓)の精巧な石組みは3000年を経てもなおそのまま残る。驚異である。ヨーロッパ文明発祥の地の数多くの遺跡に触れ感動の連続の旅であった。
翻って現在は、経済危機にあえぎEUのお荷物になった感のあるギリシャだが、街ゆく人々の表情に暗い陰は微塵も見られなかった。

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