ペルー紀行

      2017/05/25

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 南米ペルーは遠い。日本から15000km。欧米に2回行くのに等しく、かなりの体力がいる。マチュピチュに行くなら若いうちにと言われる所以である。
 遅きに失したが2012年12月、私67歳、妻64歳の時に出かけた。疲労を考え、サンフランシスコに1泊してペルーに向かう。それでも旅の4日目、標高3400mのクスコでは、睡眠不足と疲労から妻は高山病に苦しんだ。50代の初め睡眠十分で行ったフランス・モンブランの3842mの展望台では何ともなかった。

ナスカの地上絵遊覧飛行

 旅の3日目、ナスカの地上絵の遊覧飛行。首都リマから230kmのピスコ空港へ。砂漠を真っすぐに貫くパンアメリカン・ハイウェー沿いには貧民窟が延々と続く。その貧しさには目を覆うばかり。フジモリ元大統領の人気が未だに高い。
 12人が搭乗したセスナ機が空港を飛び立って30分。広大なパンパにナスカの地上絵が現れる。曇っていると白い線が砂に溶け込んではっきり見えない地上絵が、晴れ上がった青空のもとくっきりと浮かび上がる。大きな絵で一辺300mもあるが、高度3000mから見ると小さく子供のいたずら書きのよう。左右の席に平等に見えるように、セスナは右に左に旋回しながら飛ぶ。女性パイロットが日本語で右!左!翼の下!などと叫ぶ。

◆女性パイロットと

 クジラ、宇宙人、サル、犬、コンドル、クモ、木、手、オウム、フラミンゴ、星、ハチドリと13個の絵が30分の飛行ですべて確認できた。あまりにはっきり見えるのに興奮して、思わずクジラだ! ハチドリだ! と叫んでいた。

 テレビで見る地上絵は何回も何回も飛行を重ねて撮影しているというのに、たった1回のフライトで見事な写真が撮れた。中ほどの座席に居て感じなかったが、後部座席の人達は繰り返す急な旋回で飛行機酔いに悩まされていた。
 大地の巨大なカンバスに刻まれた地上絵は、パンパを覆った黒い石や砂をどけて白っぽい地面を出すことによって描かれている。線は深さ10センチ、幅20センチほどで意外に細い。年間を通してほとんど雨が降らず、簡単な線が消えることなく1000年以上も残った。何故描かれたのかは未だ分かっていない。

インカ帝国の首都クスコ

 旅の4日目、未だ明けやらぬ3時半、ホテルを出発。すでに街は動き始め、明かりがこうこうと輝き多くの人が活動している。ここ4~5年急速に発展していると日本人花嫁さんが言う。
 6時半離陸。標高1548mのリマから左方に雪のアンデス山脈を見て、1時間10分の後に3400mのクスコへ。インカ帝国の首都として栄えた街。16世紀後半にスペイン人の侵攻を受けた後、インカの石組みとスペイン建築が融合する美しい街並みが築かれた。計算し尽されたインカの石組みは容易に崩すことができず、そのまま土台としてその上にスペイン風の街並みを建造した。茶色の屋根とレンガの壁の家並みが山の上まで伸び、一色に統一されている。

サクサイワマン城塞跡

 標高3600mのサクサイワマン城塞跡へ。かなりの坂を登り、妻の顔が蒼ざめ動きが鈍くなる。風邪気味のところにきて睡眠不足が続いて、まさかの高山病を発症。1人1本渡された携帯の酸素ボンベを何回も口と鼻に当てるも一向に効き目なく、私の分も使い果たす。

 ◆サクサイワマン城塞跡 

◆携帯の酸素ボンベを手にアルパカと

アルマス広場から12角の石へ

 南米一美しいというアルマス広場から12角の石へ。カミソリの刃1枚通さないインカの石材建築。ピッタリと寸部の隙もなく積み上げられた精巧な石壁に囲まれた道を歩くと、息が詰まる。宗教美術館を支えるインカの礎石に1000年前のナスカ時代の「12角の石」がある。12の角をそれぞれ他の石とピタリと接合させた驚異の技術! 十数キロも離れた所から石を運んで来て、12角の幾何学的複雑さに挑戦している、これぞインカ流の美意識。

◆上:アルマス広場
 ◆下:驚異の技術「12角の石」

 ショッピングも散策も苦しく、レストランで大きな酸素ボンベを借りる。私も何か気分が悪い。妻は昼食の大半を残す。

インカレールでマチュピチュ村へ

 バスで4000mの峠を越え、オリャンタイタンボ駅へ。夕方、インカレールの列車に乗り、一路マチュピチュ村へ。同行の婦人たちが心配して、高山病に効くというノーシンを分けてくれた。アンデスの聖なる谷をウルバンバ川の濁流に沿って列車は走る。ひどく揺れる。5700mを超えるアンデス山脈が連なり、その大迫力に感動! 美しい虹がいくつも架かり、歓声があがる。線路に覆いかぶさるように岩山が続く。2000mまで標高が下がり妻の高山病はウソのように解消する。
 マチュピチュ村のホテルの夕食時、流しの楽団が哀愁を帯びたペルー音楽を演奏する。感動に胸が熱くなる。思わずチップをはずみ、US$10のCDを買う。ペルーのビールも食事もまずまず。アルパカの肉はあっさりしていて美味しい。

◆アンデスを走るインカレール

 

◆レストランの流しの楽団

◆マチュピチュ村

空中都市マチュピチュ

 旅の5日目、鶏の鳴き声に目が覚める。子供の頃を思い出し懐かしい。標高2000mの村には日本の四季の花々がいっぺんに咲いている。朝、乗り合いバスでガードレールもない崖沿いの幾重にも曲がりくねった山道を登って20分、2400mのマチュピチュ遺跡の入口に着く。さらに徒歩で休み休みゆっくり登る。木の枝にハチドリが羽根を休めている。ホバリングしているところが見たかった。遺跡の全景を見下ろすビューポイントに着くと、突然視界が広がり石造りの都市が現れる。皆一様に感嘆のため息をもらす。妻も念願が叶い感動の面持ち。

 空中都市あるいは失われた都市と呼ばれるマチュピチュ。16世紀前半、スペイン軍はインカの都市をことごとく破壊し尽くしたが、山中のマチュピチュは発見されることなく無傷のまま残された。

 インカ帝国の滅亡から400年を経過した1911年、アメリカの歴史学者ハイラム・ビンガム(インディー・ジョーンズのモデル)によって発見された時には、マチュピチュは草に埋もれた廃墟となっていた。
 14ヶ所の水汲み場の水の量、段々畑の大きさから500~700人の人々が暮らしていたと考えられる。遺跡はインカ皇帝の別荘、要塞、宗教施設と様々な説があるが、最近では物資の中継拠点との見方が出ている。

 メインゲートから「管理人の家」、「陵墓」、「天文台」、「太陽の神殿」、「典礼水の泉」、「石臼の間」、「コンドルの神殿」、「王の部屋」、「段々畑」を廻って3時間余。好天に恵まれ汗が滲む。
 ロッジで昼食。2人とも興奮冷めやらず、感動の余韻に浸りながらの食事は格別。いつの間にか雨になっていた。山の天気は変わりやすい。

 マチュピチュ遺跡は劣化が進み一時閉鎖も検討されたが、日本の大学の協力で補修が行われ当面の危機は脱したという。

◆土産物屋

◆クスコのレストランで

首都リマの市内観光

 ぺルーの最終日は、海岸砂漠地帯に位置する首都リマ市内の観光。人口790万人を擁する大都会。年間を通してほとんど雨がない。季節は日本の逆。11~4月が夏。この日は真夏というのに上着なしでは寒く、半袖の現地ガイドはあり得ない気温だと震える。ペルーには天気予報がない。のどかに見えるが危険がいっぱいの国。

◆上:ペルーの首都リマの市中心部

◆右:ジャカランダの花

 大統領官邸、大聖堂、市庁舎など黄色い建物が並ぶ広場に、ジャカランダの紫の花が彩を添えている。

 天野博物館では日本から来た若い女性のボランティアガイドがチャンカイ文化の説明をする。織物に優れたものが多い。昼食はサンマルティン広場の豪華ホテルで、紫トウモロコシのチシャジュース、アボガドのサラダ、ペルー風焼きそば。思いのほか美味しい。
 スーパーマーケットを覗く。輸入品、果物、野菜が豊富。熱帯の魚が珍しい。高級ショップではビクーニャのマフラーが20数万円。素晴らしい手触り。夕食の日本食、しゃりが固くなった握りずしには閉口したが、味噌汁、玄米茶が嬉しい。

 これまで行ってがっかりした海外旅行はないが、ペルーには、素晴らしさに感動したというのが実感である。是非お勧めしたいが、70歳を超えた今、体力に自信がないときついかも。

 

 

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