寿禄短歌の会 黒川 勝利(2)◎新涼の候

      2024/02/06

 
◎珈琲賛歌
 

 ぼくに珈琲について語る資格があるかどうか、疑問である。なぜなら、ほぼ毎日珈琲を楽しむようになったのはここ4,5年のことだからである。それまで好んで飲んだ飲料は、おそらく日本人男性の8割近くがそうだろうが、お酒、特にビールと日本酒であった。ところが…と前書きして、最初の短歌。

 と言っても、たいした病気ではない。死に至る病でもなければ難病でもなく、高齢者には珍しくもない病気。でもこれ以上ひどくなると日常生活が不便になる、特に旅行や山歩き(山登りではない)の時に困ることが多い。
 ということで生活を変えた。そうすると少しは良いこともある。

 

 こうして、街歩きの散歩道に点在するいくつかの喫茶店でコーヒーを飲むのが習いとなった。特にスターバックスの駅地下店が、落ち着いた雰囲気で気に入っている。

 スターバックスに限らずシアトル系コーヒー3社に共通することだが、アメリカ主導のグローバリゼーションとともに全世界に支店網を拡大していった。そのためか1999年にシアトルで開催されたWTO閣僚会議の際はデモ隊によってウィンドーを破られた。

 その騒動の翌日の「USA TODAY」紙は社説で、「スターバックスのウィンドウを破壊しても世界の抑圧された人々を解放することはできない Smashing Starbucks‘ Windows won’t free world oppressed」とデモ隊を批判した。

 同時に、「WTOは貪欲な企業に奉仕している WTO feeds corporate greed」という抗議運動指導者の主張も掲載している。
 ともあれ現在スターバックス社は、先進国の消費者や自社の利益だけを考えてコーヒー豆を買いたたくのではなく、生産国の農園労働者に適正な賃金と労働条件を保障するような価格を実現するための「フェアトレード」運動に協力している。

 堅い話になったので最後は気楽に本歌取り風を一首。

 言うまでもなく本歌は、藤原道長の「この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」である。

 

 

 

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