寿禄短歌の会 廣渡 清吾(4)◎新涼の候

      2024/02/06

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「かりる」—はやり歌借景方式

 
 コラム欄で春日八郎の「お富さん」を種に盛り上がったことがありました。そんなことを思いだしていたら、
『お富さん』意味も分からず歌っていたが われら世代の共有文化
 という31文字ができました。ふーん、これ使えるかもしれない、と思いついたのが、「はやり歌借景方式」、つまり、前回は「まねる」でしたが、今回は「かりる」でやってみよう、というわけです。

 
◎ぼくの愛唱歌「われは湖の子」から

 
◎最近よく口ずさむ歌 加藤登紀子/百万本の薔薇(1987年)から

 ラトビア原産、ロシア語で愛唱され、加藤登紀子さんが歌っています。貧しい絵描きがすべてを売り払って、愛した女優のために百万本の赤い薔薇で広場を埋め尽くします。女優は金持ちの気まぐれだろうと満足気に広場の薔薇を眺め、別の町に去ります。絵描きは薔薇を眺める女優を見るだけ、この想い出だけを胸に、孤独な日々を過ごします。成否はともかく、君が好きだ、薔薇を捧げる、と「なぜ告げぬ」と、じれったがる人がいるのです。

 
◎すぐに思い浮かぶ70年代フォークソング 南こうせつとかぐや姫/神田川(1973年)から

◆有馬温泉

 70年代はじめ、新婚時代に西陣に住んでいました。朝早くからトンカラ、トンカラと機織りの音が聞こえました。

 
◎はしだのりひことシューベルツ/風(1969年)から

 
◎イルカ/雨の物語(1977年)から

 
◎イルカ/なごり雪(1975年)から

◆京都市下京区四条通「十三や」

 十三やは、京都四条通に古くからある櫛屋さんです。九と四をたして十三だそうです。

 
◎石川さゆり/風の盆恋歌(1989年)から

 市丸さんの「風の盆 君に故郷を見せたいと連れ行かれしは遠い夏の日」から思いついたので、本歌取りもという欲ばり???

 
◎最後にドイツ歌曲から

 ショパンがハイネの詩に曲を付けた連作「詩人の恋」の第一連の出だしが「いと美しき月、5月に」です。恋が芽生え、燃え上がるが、しかし、あの人は去っていってしまうというストーリー。フリッツ・ブンダーリヒは、夭逝したテノール歌手(1933-1966)、甘く切ない声で歌います。

 シューベルトがハイネの詩「アトラス」に曲を付けました。「ぼくは全世界を、世界のすべての苦しみを背負わなければならないんだ」、「それはお前が選んだことではないのか」。これをイメージしましたが、アトラスに「君」はでてきません。この31文字は、不均衡、非対称の君とぼくの関係なので、決して持続可能でなく、一瞬の心理現象だと思われます。つまり、相手を失ったときの白鳥の歌ですね。

 

 

 

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