春のフランス花紀行③

      2021/12/01

 

 

古代ローマの面影を残すプロヴァンスの小さな村

 2011年5月8日、旅の4日目。ローヌ川畔の町アルルで朝を迎える。南仏の空はどこまでも青く、快晴の日が続く。朝食後、心地よい冷気に包まれてホテル・ジュリアス・シーザーの周辺を散策。9時半、ホテルを出発。ゴッホが暮らしたアルルの市内観光に向かう。

◆ローヌ川畔の町アルル

 アルルは、紀元前1世紀、カエサルの時代にローマの植民地となり、4世紀にはコンスタンティヌスがしばしば滞在し、「ガリアの小ローマ」と呼ばれる。フランスでありながら、円形闘技場、古代劇場、古代フォーロム地下回廊、コンスタンティヌス共同浴場、古代墓地アリスカンなど、今も数多くのローマの遺跡が残る。

 10時から市内を歩いて巡る。至る所に古代ローマの遺跡が顔を覗かせている。

◆アルルの町の入り口

アルル市街:スライドショー(横13枚、縦4枚)

 

ゴッホが描いた風景に出会う 

 ゴッホがオランダ人あることを忘れるくらい深い繋がりを持った町でもあるが、今、アルルの町には残念ながらゴッホの絵は1枚も残っていない。

◆ゴッホの「アルルの跳ね橋」

 先ず訪れたのが、ゴッホが「アルルの跳ね橋」に描いたのどかな細い運河に架かる「ヴァン・ゴッホ橋」。町から3km、10分ほどで到着。橋はゴッホが実際に見たものではなく、復元されたもの。絵画に描かれた白い橋と違い、木材の材質の濃茶の色がそのまま。川の水も周辺一帯も茶色で、絵とは大分違った印象を受ける。

◆ゴッホ作「アルルの跳ね橋」  描かれているのは、のどかな春の空と川。跳ね橋の上を渡っていく幌馬車や、川で洗濯をする女性たち。

◆上3枚:復元された跳ね橋

◆ゴッホの「夜のカフェテラス」

 プラス・デュ・フォーロム広場に面して、ゴッホの「夜のカフェテラス」のモデルとなったカフェがある。アルルの星空の下、人々で賑わうカフェを描いている。私の好きな作品の一つで、我が家の玄関の飾り棚に、小さな額におさまって毎日目を楽しませてくれている。夜の雰囲気は味わえなかったが、イスに座り、テーブルに触れてゴッホの当時を偲ぶ。絵はオランダ・ロッテルローのクレラー・ミューラー美術館が所蔵しているが、何かの美術展で観た記憶がある。

◆ゴッホ作「夜のカフェテラス」

「夜のカフェテラス」に描かれたカフェ:スライドショー(横4枚)

◆円形闘技場

 アルル最大のモニュメント円形闘技場へ。周辺には民家が隣接して建っている。紀元1世紀(75年頃)に建設され、2層で60のアーチからなる。当時は3層あったとされ、6世紀には要塞として用いられた。直径は広い所で136m。フランスで最も大きく、収容人員2万人。保存の良さでも知られている。しかしこの日入場は出来ず、その壮麗な様を見ることは出来なかった。

 復活祭の闘牛でも知られ、モザイク模様が綺麗な牛のキーホルダーを記念に買う。何万円もする牛の置物を買う人がいる。

◆上:円形闘技場、すぐそばにアルル市街が広がっている 下左:闘技場入り口 下右:記念に買い求めた牛のキーホルダー

円形闘技場外壁:スライドショー(横3枚)

◆古代劇場

 円形闘技場の南にある古代劇場は、半円形の階段式客席が舞台を見下ろしている。白い大理石の円柱が残り、今も、コンサートやオペラの会場として使われている。

古代劇場:スライドショー(横3枚)

 町の中心レビュブリック広場を囲んで、市庁舎やサン・トロフィーム教会がある。この日は日曜日だからか、民族衣装で着飾った母子や民族旗を掲げた人たち、軍人か警官の制服を纏ったおじさんたちがいて、いっしょに記念の写真を撮らせてもらう。

アルルの中心、レビュグリック広場:スライドショー(横4枚、縦3枚)

市庁舎とサントロフィーム教会:スライドショー(横4枚)

民族旗を掲げた人たちや民族衣装で着飾った母子等:スライドショー(横4枚、縦1枚)

◆エスパス・ヴァン・ゴッホ

 さらに西に進んで、中心街に位置するエスパス・ヴァン・ゴッホへ。アルルの黄色い家でのゴーギャンとの共同生活が破綻した1週間後、精神異常をきたしたゴッホが、自ら左耳を剃刀で切り落として収容されたアルル市立病院の建物がある。病院跡の広い敷地内には図書館、大学センター、宿泊施設、多目的展示場などがあり、総合文化センターとしてアルルの文化活動の拠点になっている。中庭は、ゴッホが100年前に散歩し、描いた姿がそのままに再現されている。

エスパス・ヴァン・ゴッホ:スライドショー(横4枚)

◆ゴッホ作「アルル療養所の中庭」

- 春のフランス花紀行④に続く -

 

 

 

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