■時代背景
玉門関(ぎょくもんかん)は、長安の北西約2000km、甘粛省敦煌 (とんこう) の北西約100kmのゴビ砂漠におかれた関所。シルクロード交易の中継地点であり、河西回廊の重要な防衛拠点であった。当時侵略してくる異民族を討伐するために男たちは遠征していた。
■現代語訳
長安の夜空には、ぽつんと一つの月がかかっており、
あちこちの家々から砧(きぬた)を打つ音が聞こえてくる。
秋風は絶えまなく吹き続け、月光、砧の音、秋の風すべてが
玉門関に遠征している夫を思い慕う情をかきたてる。
いったい、いつになったら夫は異民族を平定して、
遠い戦地から帰ってくるのであろうか。
でも、同じ歴史でも逆の立場から見れば、全く違う真実が見えてきます。
思えば、西から玉門関を越えて中国に向かった西域諸民族の兵士の妻もまた、長安の女性と同じように、張り裂けるような気持ちで夫の安否を気遣っていたのでしょうね。