カメラとともに Vol.13 テントウ虫の話

      2021/05/23

 

ついに卵を発見!

 前回の「優曇華(うどんげ)の花」を撮っていた昨年の秋のこと、同じ萩の木に見慣れない虫が居ることに気づいていました。あとで、それらはテントウ虫の幼虫とサナギであることが判明。これがきっかけとなってテントウ虫の変態に興味がわきました。

 そこで幼虫やサナギ、さらにサナギから羽化したばかりの成虫を見つけて写真を撮りまくりましたが、一連の写真には卵が欠落していました。年が明け3月になって、とうとう卵を見つけました。というわけで一通り材料が揃ったので、以前に撮っていた写真も含めてもっともらしい話にまとめてみました。

 

 春です。動物たちは恋をする。テントウ虫も恋をする。やがて・・・・

 

 昨年「優曇華の花」を見つけたのと同じ萩の木の葉裏に探し求めていたテントウ虫の卵を発見。長軸 1.5mm,短軸0.5mm程度のとても小さな長楕円体の卵です。

 

 角度を変えて観察。22個のタマゴが産み付けられています。幼虫からサナギを経て成虫となる過程でエサとなるアブラムシがたくさん居る所にタマゴを産むのだそうです。これはまさに優曇華の花のクサカゲロウの場合と同じで,子を想う親心というのは動物に普遍的に備わった本能だと思われます。

 

 グロテスクな写真で恐縮ですが,これはテントウ虫の幼虫です。写真では巨大な怪獣のようにも見えますが,実際は長さ5mmくらいの小ささです。左はナミテントウ,右はナナホシテントウではないかと思いますが確信はありません。違っていたらごめんなさい。

 

 脱皮をしている最中の幼虫。右は脱皮後の抜け殻です。

 

 幼虫は脱皮を繰り返しながら大きくなり,やがてこのようなサナギとなって動きが鈍くなります。

 

 サナギから羽化したばかりのフレッシュな成虫です。全身が淡い黄白色に輝いています。この時点では後羽根が尻尾のように垂れ下がって見えています。乾かしているのでしょう。

 

 15分くらいのあいだに後羽根は本体に収まり,背中の部分が次第に色づいてきました。なんとなく黒っぽさが見えるので、これはナミテントウかもしれません。

 

 これまでに撮影したことのあるテントウ虫を以下に並べてみました。まずはナナホシテントウ(七星テントウ)です。「テントウ虫」と云われてほとんどの人がイメージするのはこれでしょう。結婚式でシャシャリ出てくるのもこいつだと想います。

 

 しかし、身近に最もポピュラーに見られるのはナミテントウ(並テントウ)とのこと。ここに並んでいるのは全てナミテントウで,色と模様は個体差が大きく実に多彩です。

 

 地味な存在ですがニジュウヤホシテントウ(二十八星テントウ)というのもいます。ほかにもテントウ虫にはたくさんの種類があるようで、鹿児島地方だけでも80種に及ぶそうです。

 

 それにしてもグロテスクな幼虫と、可愛らしくて美しい成虫は似ても似つかない感じです。しかしこの写真を見て下さい。飛び立った瞬間の成虫ですが、めくれたドレスの下に見えるのは紛れもなく脱皮中の幼虫やサナギ時代の胴体そのものではありませんか。
 見てはいけない物を見てしまったような気まずさがなくもない気がしました。

 

余談ですが、今度の日曜日(3月28日)NHK総合 午後7:30からの「ダーウインがきた」では「テントウ虫」がテーマのようです。興味のある方はご覧になってください。

 

 

 

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