ネパール夢幻-世界の屋根ヒマラヤの峰々に憧れて

      2016/09/18

ネパール夢幻

世界の屋根ヒマラヤの峰々に憧れて

田中 功也

 世界の屋根ヒマラヤの峰々に憧れて、一昨年3月ネパールに出かけた。自らの脚で登る体力はないので、遊覧飛行で空から眺めようという旅である。
 16日チャーター便でネパールの首都カトマンズへ直行。関空から7時間半、フォローの気流に乗る復路は5時間半と意外に近い。緯度的には沖縄。季節は早春でも暑いくらい。

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いざ、神々が座す霊峰へ

 2日目、朝8時半から1時間のエベレスト遊覧飛行。19人が搭乗。離陸後15分で真っ青な空に白銀の峰々がくっきり。実に清澄。予想を遥かに超える美しさである。6~7千㍍の山々が連なり、エベレスト8,848m、世界4位のローツェ8,516m、5位のマカルー8,463m、6位のチョ・オユー、14位のシシャ・パンマの8千㍍峰5座が目の前に現れる。
 交替でコクピットに招じ入れられ、パイロットの説明を受けながら、間近に迫る山々を見つめ、夢中で写真を撮る。感激ひとしおである。

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カトマンズの街とネパールの教育

カトマンズは家が密集して埃っぽく、帽子とマスクが欠かせない。ヒンズー教の三重塔がそこかしこに建っている。崩れそうな家々の中で、旧王宮は西欧の王宮のように立派である。乾いた喉にエベレストビールが美味しい。大瓶530ルピー(470円)。2014-03-19 002

ネパール最大の仏塔ボダナートを巡り、バクタブルへ。ちょうど学校の下校時間。小奇麗な制服に身を包み皆かわいい。女子高校生は日本の制服によく似ている。小学校から義務教育ではない。学校に行くのは裕福な家庭の子供たち。国語以外の授業はすべて英語で行われる。卒業した子は皆英語が話せる。

めくるめく天空の段々畑

 山岳の国ネパールの田園は美しい。見事な段々畑が続いている。電力事情が悪いネパールは停電が多い。短い時間だが日に何回も起きる。ネパール段々畑2
3日目の早朝ホテルのテラスで朝日鑑賞。学校にはスクールバスで通う。制服を着てバスを待つ子たちの横で、学校に行けない貧しい服装の子たちが遊びに興じている。日本も決して恵まれた教育環境にあるとはいえないが、ネパールの貧富の差は大きい。
若い女性兵士が隊列を組んでバスの横を通る。表情はまだ幼い。世界遺産チャグナラヤン寺院へ。二重塔が堂々としている。西洋人の観光客が多い。標高1850mのカトマンズから200㎞離れた850mのポカラに25分の飛行で移動。突然の豪雨と大粒の雹が激しく地面に打ちつける。
ホテルの屋上からはスイスのマッターホルンにそっくりのマチャプチャレ峰6998mが間近に臨める。空を圧する高さである。

ネパール・アンナプルナ

アンナプルナ遊覧飛行

2014-03-19 001 夜半、豪雨と強風。トタン屋根が吹き飛ばされる激しさ。それらが嘘のように去って、アンナプルナ遊覧飛行に向かう頃には快晴に。16人を乗せて7時半離陸。すぐに山群が迫る。ダウラギリ8167m、マナスル8163m、アンナプルナ1峰8091mの8千㍍級3座を始め、7千㍍級の山々が間近にくっきり見える。風もなく機はかなり山々に接近。
今回2回の飛行で、世界に14座ある8千㍍峰のうち8座を見ることができた。悪天候で飛行自体がキャンセルされることが多い中、奇跡に近い。
ディクリポカリへ。アンナプルナ山群を見ながら山間部のチトリ族の村をハイキング。子供たちがすれてなくて何ともかわいい。極貧で学校に行けなくても、幸せそうに見える。女優にしたいくらいの美人の娘がいた。村にはチベット難民の物売りもいた。

美少女の生き神様、クマリ

 5日目、快晴。朝日を浴びたマチャプチャレ峰、アンナプルナ南峰の神々しさ、迫力に息を飲む。チベット難民キャンプではカーペット工房を見学。羊の毛の織物が素朴でいい。フェワ湖畔のレストランで食べたすき焼きの美味しさに驚く。日本の味そのもの。日本人がオーナーシェフだった。
 カトマンズに戻り、パタンの街へ。夕方訪れたクマリ(ヒンズー教の生きた女神・初潮を迎えると退任し普通の少女に戻る)の館。美しい少女。姿を見るのも難しい神様なのに、US1ドルのお布施でいっしょに写真を撮ることができた。

ネパール・クマリ4

ネパール・クマリ1

ネパール・クマリ3

 ネパールは2015年4月M7.8の巨大地震に襲われた。8460人の死者を出し、GDPの4分の1に当たる50億ドル(6000億円)の甚大な被害を受けた。私が訪れたカトマンズやナガルコットの寺院や建物の多くも倒壊し、山間部の村でも全壊した家が多いと聞いた。キャンディ―をねだった子供たちの無事を祈らずにはいられない。

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