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ワインとお酒-法と社会の比較研究

      2016/06/21

廣渡 清吾

◆特別寄稿

福高第16回卒業生のみなさま。
たいへんごぶさたしています。3年4組の広渡清吾です。このたび、第16回同窓会のホームページが立ち上がることになり、記念すべき開設ページ(というのでしょうか)に寄稿の機会をいただきました。

52年間の「生存空間」

この3月末で、現在勤めている専修大学法学部(神田神保町にあります)を定年退職します。振り返ると、京都大学で9年間(学生4年と助手として5年)、東京大学で36年間、そして専修大学で7年間、福高をでてから52年間、ずっと大学を「生存空間」にしてきました。大学から解放されて、これからどんな新しい課題に挑戦しようかと考えているところです。

最終講義でワインの話!?

そこで、お前は一体大学で何を勉強していたのか、ということですが、それについて少し書くことにします。先日、「最終講義」をやりました。「最終」ですから、ふだんの講義とちょっと趣きを異にし、学生以外にもオープン、看板をだし、教壇に花を飾って、学生が開会のあいさつをしました。その講義のテーマは、「ワインとお酒-法と社会の比較研究」でした。
このテーマは、副題のほうがメインです。「ワインとお酒」は、枕にふるタネでして、ぼくは下戸なので、これ自体の研究は柄にあいません。それでも、ドイツ留学中は、ワインのラベルを集めることを楽しみにして、ワインをせっせと飲みました。コレクションの基準を「自分で飲んだワインのラベルだけ」としたからです。ワインを買う時には、「このラベルはまだもってないな」と物色するというわけでした。

独「ワイン法・ビール法」に見る高い志し

テーマの狙いは、ワインについてのドイツの法制度とお酒(清酒)についての日本の法制度を比較して、そこからドイツと日本の社会と文化のそれぞれの特徴をひきだしてみようというものです。つまり、ぼくの研究のキーワードは、「ドイツと日本」、「法と社会」そして「比較」です。
「比較」については、「ライオンとりんごは比較できない」という話を最初にします。つまり、比較の対象には、なんらかの共通性がないと比較する意味がないですね。ドイツと日本の間には、御推察のように、近代の歴史において重要な共通性があり、法と社会の比較をするための基礎条件を十分に満たしています。
ドイツには日本にはありませんが「ワイン法」という法律があります。最初の制定は1892年ですから、歴史が長いです。これに対して、日本のお酒に関する一番重要な法律は、酒税法で1940年の制定です。ドイツには「ビール法」もあります。ワイン法やビール法の目的は、「ドイツのワイン」、「ドイツのビール」というにふさわしい品質の確保です。日本の酒税法はいうまでもなく、酒類の製造および販売の免許の賦与ならびに酒税の徴収を目的とします。法律を作った人たちのこころざし?の違いが見えるでしょう?

一徹なドイツ人気質に感服

ドイツの「品質確保」へのこだわりには、ぼく自身が被害をうけました。ミュンヘン大学で1年間、客員教授として「日本法」を教えたとき、受講した学生が単位を欲しいと言ってきました。当然ですよね。そこ14で「単位を認定したい」と学部当局に申し出ましたら、「あなたはドイツの大学法に基づく“大学教授資格”をもっていないので単位認定の資格がない」と言い放たれました。「そちらが招待しておいて、この言い方はないだろう」と多少憤然としましたが、「さすがドイツ」と変に感心しました。
まことにしりきれトンボですが、与えられた字数が大幅に超えてしまいましたので、ひとまず、近況のご報告として終わりにいたします。みなさまの御健勝と御自愛をひとえにお祈りいたします。

2016年1月「最終講義」にて

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