新日本歳時記/寿禄会版・辛夷(コブシ)new

   

(いつものように写真のクリックで、拡大写真を見ることが出来ます。)

田中 功也

◎今日の一枚/コブシの蕾がふくらむ

 

 辛夷(コブシ)はモクレン科の落葉高木で日本固有の花木である。高さは10メートルほどに育ち、山地には20メートル近くの巨木もある。北海道から九州に至る山地に自生し、3月から4月にかけて、まだ寒さの残る山肌に直立した巨木の枝いっぱいに純白の花を咲かせる。平地の公園などに植えられたものは、2月末から3月初めにかけて花が咲き始めることも…。大きく拡げた枝の先に、うぶ毛の生えた花芽が一つずつ付き、冬の終わりにはそれがだんだん膨らみ、やがて割れると、中から蕾が現れる。その形が乳児の握りこぶしに似ているところから、「コブシ」という名がつけられたという説もある。蕾が開くと純白の6枚の花びらが現れ、香しい薫りを発する。

 測定機器を使った改まった観察を行わなくても、その場の環境を特徴づける植物を「指標植物」と言うが、コブシもその一つ。つまりこれが咲けば「春」ということになり、昔の人は田んぼを耕したり種を蒔いたりした。そこでコブシのことを「田打桜」とか、「種蒔桜」と呼んだりもする。

撮影者

田中 功也

撮影日

2024年2月22日
 東京から大阪に戻った2月22日午後、最寄り駅から自宅までの途中にあるコブシの蕾が大きくふくらんでいた。東京に行く16日はまだ固かったのに……。記録的な暖かさが何日も続いたせいか。ここ当分は冬の寒さというが、春の足音はもうすぐそばまで来ているようだ。

撮影場所

大阪府和泉市

 

 

 

 - 歳時記