寿録短歌の会 黒川勝利(5)◎春霞の候new

   

短歌と写真(東大寺二月堂、亀戸天神、湯島天神)/黒川 勝利

 

◎東大寺お水取り

 1200年以上前からの伝統行事といわれる東大寺の「お水取り」を拝観したのは、ちょうど10年前、2014年の3月だった。ダイナミックな松明とその火の粉の見事さを堪能しつつ抱いたのが、舞台となる建物の名称についての疑問だった。奈良時代に建てられた建物がなぜ「二月堂」、さらには「三月堂」なのか。 廣渡君の第7回短歌会投稿の冒頭句にあるように、かつての日本の初春は睦月、如月、弥生と続いたはずだ。
 ひょっとすると、主流は睦月、如月、弥生でも、状況に応じて一月、二月、三月が古代では併用されていたのか、それとも仏教界の慣習なのか、あるいは中国に倣った命名なのか。多分、中国風だろうな。

  ◎絵馬の願い

左と右下:亀戸天神、右上:湯島天神

 梅の時期にたまたま在京すると、用務の暇を見つけてどこかに観に行きたくなる。六義園、小石川植物園など東京に梅の名所は多いが、梅と同時に密集した絵馬に感心したのは、亀戸と湯島の両天神だった。思えば当然で、2月と言えば受験の真っ最中。

 天満宮の代表といえばやはり太宰府だろうが、周辺人口の数が桁違いだから、絵馬の密集度だけは亀戸、湯島の方がすごいのではないだろうか、と思った。

  ◎烏鷺の闘い(うろのたたかい)

 2020年の1月を最後にコロナ禍で中断していた学生時代のサークル仲間による囲碁会が、この2月に久しぶりに開催となった。4年ぶりとあって、烏鷺の闘いを終えた後は酒を酌み交わしての近況報告。しかし、全員後期高齢者、近況報告といっても現実には持病の報告が続くことになった。ぼくも同様だが、昨年からの脚の痛みに加えて「最近は高校同期のホームページに短歌を投稿している」と報告しておいた。

 のんびり、怠惰に生きていると、時間だけが過ぎていく。果たして生きているうちに終わるのだろうか…と反省。

 

 

 

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