泉北高速鉄道・深井駅から東へ1㎞、12~3分歩くと右手に史跡「土塔」が見えてくる。堺市中区土塔町の広い公園の一角。その大きさと青空に映える美しさに圧倒される。
土塔は、堺出身の奈良時代の僧・行基が建立したとされる四十九院のひとつ大野寺の仏塔。鎌倉時代の「行基菩薩行状絵伝」にも本堂、門とともに「十三重土塔」が描かれている。
一辺53.1m、高さ8.6mの十三重の塔で、各層全面に瓦が葺かれている。その数は6万にも及ぶ。各層の垂直面にも瓦を立てて、風雨による盛土の崩壊を防いでいた。瓦の製作年代から、室町時代まで瓦葺きの補修が行われていたことが分かる。「行基年譜」の記述と同じ「神亀4年」と記された軒丸瓦も出土している。
現在の塔は、全体を盛土で保護し、十二層まで復元したもの。460m北には行基が天平13年(741)以前に造った「薦江池」(こもえいけ)ではないかと考えられる「菰池」という溜め池もある。
三日続きの快晴に恵まれた25日、お昼前のいい散策となった。