北西スペイン・ポルトガル紀行〔1〕

      2021/04/25

 

2010.12.4 アムステルダム・スキポール空港は一面の雪景色だった 

 お昼前関西空港を飛び立ったKLMオランダ航空機は、ほどなく右前方に富士山、南アルプスを見る。日本海を越えて、果てしなく続くシベリアの雪の原野上空を飛行し、11時間53分でオランダ・アムステルダムのスキポール空港に着陸。現地時間2010年12月4日の午後3時過ぎ。空港は一面の雪景色。気温マイナス1℃。積雪で午後1時まで閉鎖され、かなり混雑している。かてて加えて目的地のスペインは空港管制官のストライキが行われていて、搭乗予定のマドリッド便はキャンセルになっていた。

オランダ・アムステルダムのスキポール空港

 予定外のアムステルダム1泊。ライデン、デンハーグ方面にあるホテルに向かう。昨春訪れたチューリップのキューケンホフ公園への懐かしい道を行く。ホテルで夕食をとり、シャワーを浴びると疲れと睡眠不足とですぐに深い眠りに落ちる。海外旅行初日にこんなによく眠れるのは初めてのこと。
 観光初日のスペイン・セゴビアの半日観光がカットされる。一番の楽しみにしていたローマ時代の水道橋の遺跡が観られなくなった落胆は大きい。

 5日朝のテレビのニュースでは、オランダ各地は軒並み氷点下。列車は雪で大幅に遅れているという。ホテル発のバスは7時45分が最終。慌ただしく朝食を済ませて、出発。8時には空港着。交通混乱と急なことでオランダ観光のバスが手配出来ず、空港内で8時間の時間待ちとなる。アムステルダムの美術館分室や免税店を観て回っても時間はつぶれない。ロビーでひと眠り。各方面に向かう別のツァーの添乗員が、次の行程を考え、頭を抱える。

左:雪かきされたスキポール空港  右: スキポール空港のRIJKS美術館分室の掲示作品

 夕方5時前、1日遅れで乗り継ぎ便が離陸。眼下に凍結した運河が見える。7時過ぎマドリッド着。今度はスーツケースが荷物の受け取り口(ターンテーブル)になかなか出て来ない。別のグループの荷物は手違いで何とバルセロナに行ってしまったという。トラブルが続く。

 12月2日関西空港出発のスペイン行きのツァーは、雪のためアムステルダム到着が遅れて、マドリッド便に乗れず、翌日搭乗して2時間経ったとき、スペインの管制官のストライキで飛行機を降ろされてしまったという。3日、4日と足止めを喰い、2日遅く出発した我々と同じ便でスペインに向かうことに。日本からスペインまで4日がかり。急遽あてがわれたのはバスタブもないCランクのホテルだったとか。折角ヨーロッパまで来て、実質観光が3日や4日で終わってしまっては目も当てられない。何年か前に友人は、火山の噴煙で空の便が長期欠航となり、アムステルダムに1週間足止めになったことがある。偶々オランダのガイドブックを持参していたので、個人で観光して回ったと言っていた。

 

 

 

 

城壁に囲まれた街じゅうが丸ごと世界遺産――サラマンカ

 夜8時半バスが空港を出発。9時20分サラマンカのホテルに到着。思いの外暖かく、途中降っていた雨も止んだ。人口16万人の学生の街。カテドラル(大聖堂)がライトアップされ、古城のようなホテルも幻想的。ロビーもなかなか趣がある。広々とした部屋で浴室もデラックス。

 旅の3日目、明るくなって改めて豪華なホテルに驚く。ゆっくり滞在したいと思わせる。朝食のレストランは修道院跡を利用した重厚な建物。

◆ライトアップされたサラマンカカテドラル(大聖堂)

◆修道院跡を利用したホテルのレストラン

 8時半ホテルを出発。徒歩でサラマンカの市内散策へ。ドメニコ修道院を経て、スペインで最も美しいといわれるマヨール広場へ。至る所に設置されたクリスマスの電飾が、明かりが灯った夜はさぞやと思わせる。

◆ドメニコ修道院、サラマンカ市内、マヨール広場:横スライドショー9枚

 サンティアゴ巡礼者を守る騎士の家だった「貝の家」を見る。15世紀後半に建てられたゴシック様式の建物。外壁がサンティアゴ(聖ヤコブ)を象徴する貝の模様で飾られていることから、「貝の家」と呼ばれる。由緒ある建造物が数多く残る古いヨーロッパの街並みを存分に味わうことができて満足。

◆貝の家:横スライドショー5枚

 9時過ぎ、サラマンカ大学へ。イタリアのボローニャ、パリに次いでヨーロッパで3番目、スペインでは最も古い大学。創設されて以来、スペインの学問、文化の中心として栄えてきた。今も世界中から留学生が集まり、活気に溢れている。大学の正面玄関は、プラテレスコ様式の傑作。日本人から見ると壁面の飾りがゴテゴテした感じ。18世紀建築の新カテドラル内へ。チュリゲラ様式でスペイン独特。朝早く、人もほとんど来ていない。静粛な雰囲気に浸る。

◆サラマンカ大学:横スライドショー8枚

◆カテドラル(大聖堂):横スライドショー6枚、縦スライドショー3枚

◆カテドラル(大聖堂)内部:横スライドショー12枚

 ホテルに戻り、11時バスで出発。広々とした平地が続く。どっしりとした丈の低い樹々。オランダとはずいぶん感じが違う。よく晴れて車内は暑いくらい。延々と続く赤土の畑、黄葉の森、連なる山々が美しい。きれいな虹が架かる。暫くすると虹は二重になり、歓声が上がる。 

 

- 北西スペイン、ポルトガル紀行〔2〕へ続く -

 

 

 

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