■作者:防人
■■現代語訳:衣服の裾に取りついて泣き叫ぶ子らを、置いて出てきてしまったなぁ。あの子らにはすでに母も亡くなっていないというのに。
■解釈:この歌は、防人となって西国の国境警備に赴くため、我が子と引き離されてしまう父親の苦しみを詠った歌です。父である自分が家を出て、母もいない家庭に、子どもだけが取り残されるという過酷な状況を、父親は身を切られる思いで詠んでいます。
※万葉集の歌には優劣など付けられません。すべての作品がトップです。市丸さんが掲げなかったら私も1位に挙げました。
※『きけ わだつみのこえ』という本があります。第二次世界大戦末期に戦没した、日本の学徒兵たちの遺書を集めた遺稿集です。私はその内容を紹介することができません。最初の数人を読んだところで涙で目が曇り、読み続けることができませんでした。国防は万葉の世から現代までわが国の悲願です。