薫風に誘われて、23日の朝、上野の森へ。
「クリムト展」が開かれている東京都美術館の前には既に長い列。
19世紀末ウィーンを代表する画家のグスタフ・クリムト(1862~1918)。華やかな装飾性と世紀末的な官能性をあわせ持つその作品は、今なお圧倒的な人気を誇る。7月10日まで長い会期を残すにも拘らずたくさんの人が訪れている。
没後100年を記念する本展覧会では、初期の自然主義的な作品から分離派結成後の「黄金様式」の時代の代表作、甘美な女性像や数多く手掛けた風景画まで、日本では過去最多となる25点の油彩画も紹介している。
1873年ウィーン万博で日本美術が紹介され、クリムトも日本の表現を自分の作品に自在に取り入れ、独自の様式を築いている。
1898年のハルシュタット湖畔の風景画。短く軽やかな筆あとを残す描法は、フランス印象派を思わせる。
クリムトは、美しく華麗な女性を描く画家として名高い。男性の肖像画は少なく、自画像もない。
ウィーンの分離派会館を飾る壁画の精巧な複製による再現展示のほか、同時代のウィーンで活躍した画家達の作品や、クリムトの影響を受けた日本の美術品もあわせてウィーン世紀末美術の精華が楽しめる。
上野公園では、「東寺展」などいくつかの展覧会が開かれており、私が帰る頃には、多くの人波が駅方面から押し寄せて来た 。