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わが惑乱の青春譜 一途に恋して音階の海へ VOL.1

      2019/03/11

 

私を惑わしてしまった罪なメロディ――「希望音楽会」

 ガーガーピーピーと時々調子が悪くなる、そのたびに手でポンポンと叩けば不思議に音が出る真空管ラジオ。そのラジオが鎮座する神棚から聴こえるのはNHK第一放送。

 昭和30年前後の九州は福岡、もうちょっとで糟屋郡となる福岡市もはずれの農家の居間、エアコンはもちろん扇風機すらあるはずもない6畳間。夏の暑さのときには、ハエにうるさくまとわりつかれ、冬の寒さのときには、すきま風が舞う堀コタツで練炭が燃える"かび臭さ"を嗅ぎながら、神棚のおんぼろラジオの前でその瞬間をじっと待っている、恥ずかしがり屋のチビで痩せた色黒の少年。今の風貌からは想像しにくいと思いますが、それが人前では純情無口、赤面恐怖症におびえる小学生の私でした。

わずか2分間の夢の時間

 そんなラジオから、毎週日曜日の午前11時、ピアノの美しいソロの出だしの後にオーケストラの伴奏、夢のようなメロディで始まる「希望音楽会」のテーマ音楽、知的な美声の女性アナウンサーの「希望音楽会でございます」の案内。

 わずか2分ばかりのテーマ音楽にもかかわらず、あまりの美しいメロディに頭の中は夢の世界。田舎の農家の環境とは別世界の、夢のような空間が広がるほんのひと時。
テーマ音楽はあっという間に終了し、後はなんかワケのわからん長くて難しいクラシック音楽が延々と流れる。早く番組終わらんかなーと、番組終了前の再度のテーマ音楽だけをまだかまだかと毎週待っていたのでした。

 やっと終わりになり、再び約2分間のテーマ音楽が流れ、夢の中に気持ちよく浸っていると、「こちらはJOLK NHK 福岡第一放送 正午をお知らせします」のおっさん声のアナウンス。1週間待ちに待った一瞬の"夢のメロディ"は、正午のニュースに続く「素人のど自慢」の、あの宮田輝アナウンサーの人を喰ったような品のない司会で"夢"はすっかり消え、恨めしく思う毎日曜日のお昼でした。

 いつも2分位でテーマ音楽はボリュームが絞られ消え入るようになってしまうけれど、その後はいったいどんなメロディになっているのか? もっともっと長く、あのきれいな夢のようなメロディは続くのではないか? 長く続くのであれば一度は聴いてみたい。誰が作った何という曲名か知りたいけど調べる手段すらナーンにもない。音を出すものといえば、ただ神棚のラジオとハーモニカがあっただけの農家の居間、6人兄弟の末っ子でした。

 それから何年か後、まだFM放送が始まる前に、希望音楽会が"立体放送"という名称でステレオ放送されるようになりました。つまりNHK第一放送と第二放送を使って、希望音楽会を実験的にステレオ放送したのです。
 第一放送で左側音声、第二放送で右側音声。もちろんAM電波ですから音の鮮明さは、現在のFMステレオ放送とは比べものにならないお粗末なものです。それでも期待に胸膨らませた小学校高学年の私は、1台ラジオを借り、2台並べて第一放送と第二放送に一生懸命バリコンをチューニングして、テーマ音楽が始まるのを柱時計を見ながら待ちました。
 午前11時の時報の後についに始まったテーマ音楽、それは今までとはまた違う音の拡がりです。それにつられて、初心な少年の夢はさらに"誇大妄想的"にドンドン拡がっていきました。

 てなことで、その後も"ハッ"とするような音楽感動体験をすることになりますが、その起点となったのは紛れもなく希望音楽会のイントロ音楽で、挙句の果てには収拾がつかない学生時代へとつながっていきます。これが私の人生を惑わす罪なメロディとなった希望音楽会、テーマ音楽との出会いです。

追憶のクラシック――「パガニーニの主題による狂詩曲」

 ずっとあとで判明したことですが、希望音楽会のテーマミュージックに使用されたのは、ラフマニノフ作曲「パガニーニの主題による狂詩曲(ラプソディ―)」作品43です。その半ばも過ぎた後半のある短い第18変奏部分※です。
演奏はピアノ独奏とフルオーケストラの伴奏形式で、ピアノ協奏曲みたいになっています。

 伝説の天才バイオリニスト・パガニーニが作った短いフレーズを使って、後年ラフマニノフがピアノとオーケストラのために作曲しなおした曲です。※パガニーニは軽微な罪で逮捕され、囚われた牢獄の中でもバイオリンを手放さず弾きまくり、とうとう弦が切れて最後の1本になっても妙なるメロディを奏でたと伝えられていますが、たぶん大嘘ですね。

 全曲を通すと約20数分ですが、希望音楽会のテーマとして用いられていたのは、頭から15分後から17分までの2分間くらいです。夢のようなメロディはほんの2分間だけ、後にも先にもこの2分だけです。残りはピアノとオーケストラが罵り合い、ドツキあいの連続でまるで夫婦喧嘩です。その中のホンの一瞬の2分間だけが、どうしたことかウソみたいに"夢のメロディ"になるのです。

私の人生を狂わせたラフマニノフという"スゴ憎い"ヤツ

 これを作曲したセルゲイ・ラフマニノフは、名前からしてロシアのピアニスト兼作曲家です。ロシア革命後アメリカに亡命し、そこでも大活躍しました。ハンサムな風貌と超絶的なピアノ演奏で当時の社交界のヒーローとなってLADYを悩ませ、多数のご婦人方の人生を狂わせたそうです。私など女性でないにもかかわらず、たった2分間、わずか2分のメロディでその後の人生をコロリと惑わされたのです。今となっては感謝すべきなのか? はたまた恨むべきことなのか? 判断に困るのですが・・・。

◆セルゲイ・ラフマニノフ 1873―1943 ロシア帝国出身のピアニスト、作曲家。

 ラフマニノフの代表的な作品といえば、勿論ピアノ協奏曲第二番ハ短調となります。その甘美なメロディはよく知られており、女性には大人気と思います。特にその第三楽章の哀愁を帯びた甘いメロディは、戦後すぐの映画「逢いびき」(ロンドン郊外のとある街を舞台とした、人妻と医者との切な~いLove Romance、勿論白黒です)で、バックミュージックとして使われ、世界的に有名になりました。きっと皆さんも、耳にされたことがあるのではないでしょうか。

◆映画「逢いびき」 1945年・イギリス

私が知的美人に弱いわけ

 「希望音楽会でございます」と、知的な声でアナウンスをしていたのはNHKの後藤美代子アナウンサーです。声の美しさと容姿、お顔立ちが見事に比例した知的美人のアナウンサーです。
 私、こんな知的美人にイチコロなんです。誠に勝手ですが若い頃からずーっと憧れの人です。大好きです。つい20年ほど前までは、教育芸術関係番組のTVで、お歳を召してはいらっしゃいますが気品のあるお姿をお見かけすることが時々ありました。2017年に亡くなられたのは誠に残念です。

※編集部注

関さんからのご要望のパガニーニの主題による狂詩曲」より第18変奏 (ラフマニノフ) の演奏です。

関さんのこのYouTube動画へのコメントが下記です。

「Rachmaninoff Variation 18 Rhapsody on Themes of Paganini 」
この映像は
ピアノはロシア生まれのValentina Lisitsa がロンドン交響楽団と
レコーディングするときのスタジオ録音時の映像です。
演奏者は みんな 平服で やってます が演奏は 真剣です。

映像は 3分チョットです 時間的に追ってみます。
最初の10秒は 第一変奏の冒頭部分をバックにレコード会社DECCAのPR
10~30秒は 17変奏から18変奏への移行部
30秒から   めざす18変奏部です
30~1分10秒 まではピアノソロで18変奏のメインメロディを
1分10秒~  オーケストラが静かに同じメロディを奏で始め、
ピアノがバックを受け持ち次のクライマックス部への準備
1分50秒~  ピアノとオーケストラが重奏で クライマックスに つまり演歌のサビ部分
それを木管楽器と金管楽器が きれいな和音で支える
2分~ 3分  あとは 次の19変奏目指して モゾモゾもぞもぞ
となっているようです… 私の勝手な思い込みかも知れませんが。
以上


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