20日の午後2時、滋賀県彦根市の国宝・彦根城を訪れる。
朝からずっと降り続いた雨も上り、ゆっくりと晩秋の紅黄葉に彩られたお城と、国名勝「玄宮楽々園」を巡ることができた。
庭園の一角には、二季咲桜が小さな花をたくさん咲かせ、辺りが白く霞んで見えた。
彦根城は、関ヶ原合戦の前哨戰で耐え抜いた大津城から移築されたといわれ、慶長12年(1607)頃に完成。
政治的象徴としての外観の美しさだけでなく、城本来の機能である軍事面でも優れている。
昭和27年に国宝に指定。彦根城以外の国宝天守閣は、姫路、松本、犬山、松江の4城だけ。
丸みをおびた唐破風や切妻破風を駆使した変化のある屋根。他の現存天守にはない美しさがある。
花頭窓は本来、寺院建築に使われ、曲線が美しい窓。高欄付き廻縁は、二重三重の破風にさえぎられ、周囲を回ることはできない。
多様な破風を設けた結果、4~5人が入れる広さで隠し部屋と呼ばれる部屋が2階の東西、3階の南北の計4ヶ所ある。
ただし、隠し部屋の意図があったかどうかは不明。
隠し部屋の中も含めて、天守閣内には82箇所もの鉄砲、矢狭間を備える。
平時は外から見えないように漆喰壁で塗り込められており、戦時は壁を突き破って使用する。
天守北側の附櫓と多聞櫓の壁は、櫓内部の守備隊を鉄砲玉から守るために二重壁とし、間には栗石を詰めて防弾の効果を高める工夫がある。
天守閣から見る城下町、琵琶湖、伊吹山などの眺めは素晴らしい。
夕方4時過ぎ、城内武家屋敷跡にある県立彦根東高校から、生徒が三々五々下校してくる。