近鉄奈良線大和西大寺で乗り換えて2駅目。西ノ京駅で下車すると、徒歩数分で薬師寺に着く。
薬師寺は、興福寺とともに法相宗の大本山。天武天皇により発願(680)、持統天皇によって本尊開眼(697)、文武天皇の御代に至り、飛鳥の地において堂宇の完成を見た。その後、平城遷都(710)に伴い現在の地に移された。
当時は、南都七大寺の一つとして、金堂を中心に東西両塔、講堂、回廊が立ち並び、中でも裳階(もこし)を施した金堂や塔の佇まいの美しさは、「龍宮造り」と呼ばれて人々の目を奪った。本尊は薬師如来、日光菩薩、月光菩薩の薬師三尊(国宝・白鳳時代)。建物の多くは度重なる火災で焼失し、特に享禄元年(1528)の兵火では、東塔を除く諸堂が灰燼に帰した。現在、奈良時代の建物は東塔のみ。
福高の修学旅行で訪れたときは、東塔、東院堂と高田好胤師の法話が印象に残ったくらいで、大きな建物は何もなかったように記憶している。その後57年、好胤師の発願により金堂はじめ大講堂、西塔、中門、回廊が復興され白鳳伽藍の美しさが甦った。
平成10年(1998)「古都奈良の文化財」の一部として世界遺産に登録された。東塔は、110年振りに解体修理が行われ、このほど10年の歳月を経て、完成した。
訪れた1月30日、紅白黄梅の花がほころび始め、椿や山茶花は花を散らし始めていた。
新型コロナウィルスの影響で中国人の集団が姿を消し、昔の静かな環境が戻ったが、観光事業にははかり知れない打撃を与えている。一日も早い終息を祈るのみである。
