【014】耆闍崛山 羅漢寺(きしゃくつせん らかんじ)

      2019/01/19

 

sachiko ichimaru 市丸 幸子

【014】

 

 

 

耆闍崛山 羅漢寺(きしゃくつせん らかんじ)
/大分県中津市

 

 

大学時代の友人たちと年イチ恒例の旅行で、紅葉の名勝・耶馬渓めぐりの途中、羅漢寺に参拝した。

霊峰羅漢山の中腹に建つ羅漢寺は、大化元年(645)にインドから渡来した法道仙人がこの地に強い霊気を感じ、岩山に洞窟を穿ち修業したのが始まり。その後暦応年間(1338~)に、円龕昭覚禅師(えんがんしょうかくぜんじ)が当地を訪れ、のちに来山した中国の僧逆流建順(げきりゅうけんじゅん)と共に、わずか1年で五百羅漢像を造立したと伝えられている。

他にも、室町時代に普覚禅師(ふかくぜんじ)という高僧が刻んだとされる千体地蔵など、3770体もの石仏が安置されており、平成26年に国の重要文化財に指定された。

羅漢山登山口、ここからはリフトでお参りをする。

誰もがスイスイとリフトに乗り込む中、ひとり「怖い怖い!」「乗れるかな?」などと大騒ぎをする微妙齢の女性(私のこと)が! 乗降の補助をするおじさんたちの困り顔が印象的であった。

そそり立つ岸壁が覆いかぶさるような石段がつづく。山門は室町幕府の三代将軍足利義満により建立されたものだとか。

ひんやりとした霊気が漂う無漏窟(むろくつ)内。「無漏窟」とは煩悩を超越した空間が広がる洞窟のことで、中には喜怒哀楽の表情、さまざまな仕草をした五百羅漢が安置されている。当五百羅漢は日本最古のもので、栃木県の徳蔵寺、神奈川県の建長寺と共に、「日本三大五百羅漢」のひとつ。

洞窟の入り口には参詣者の願いごとが書かれた無数のしゃもじが。これには願いを掬うという意味があり、神社などで目にする絵馬に当たるものらしい。

羅漢山の岩腹に張り付くように建てられている本堂。二階からは、雄大な晩秋の耶馬渓を見晴らすことができた。中では「ボケ封じ」のお守りなども売られていたが、もちろんそんなものには(意地でも^^)目もくれない。

それにしても、高僧と呼ばれる人たちは、何故かくも峻烈な場所で修業をするのだろうか?
電気もない、ろくな道具もない時代に、荒々しい岩山に洞窟を穿ち、道を作り、お堂を建て、石材を運び、3770体もの石仏を彫った、モチベーションはいかに保たれたのであろう?
しばし黙考・・・。

しかし凡人(私のこと)はすぐに忘れ、名物のお蕎麦を美味しくいただき、下山したのであった。

 

 

 

 - 御朱印わんだーらんど