醍醐寺の花見

      2017/08/03

 恩師を迎えて毎年開かれる香椎中学の京都花見同窓会、今年は先生と博多から参加の2人を含めて9人が集った。4月4日午後、早咲きの紅枝垂桜が今を盛りにと咲き誇る京都市南東部、伏見区の醍醐寺へ。

 朝のNHKニュースで醍醐寺の桜はこの日、一番の見ごろと伝えていた。今年の京都は開花が遅れ、ジャンボタクシーの窓を流れる市中のソメイヨシノはどこもまだ2~3分咲き。
 貞観16年(874)、聖宝尊師により開創された醍醐寺は、秀吉の醍醐の花見で知られる花の名所。秀吉の晩年に催された花見では、1300人が招かれ華やかな宴を楽しんだ。寺の裏手の槍山の中腹にいくつか設えられた茶屋を巡りながら雲海のように咲いた桜を愛でたという。秀吉はこの日のために700本の桜を植えた。400年後の今は、枝垂桜1000本、大きな枝垂桜20本が境内の至る所を彩る。

 平安時代から時を重ねる醍醐寺、特に桜の季節は人々で賑わう。薄い桃色の花がこんもりと重なるように咲く枝垂桜はその美しさで知られる。秀頼が再建した西大門(仁王門)をくぐり創建当初から残る唯一の建物、五重塔(国宝)に至る。醍醐天皇の菩提を弔うため951年に建てられた。広い境内に凛とした優美な姿を見せている。


 五重塔にほど近く本堂の金堂(国宝)が、大きく屋根を広げ堂々とした姿で建っている。これだけの大きさの堂は京都でも珍しい。本尊は、薬師如来、日光、月光両菩薩の薬師三尊像(重文)。
 

 霊宝館には開山以来の寺宝10万点が保存され、薬師堂の薬師三尊像(国宝)や五大堂の五大明王像(重文)などが公開されている。一山に伝わる一切の宝物は、一紙に至るまで流出することなく、現在、寺の伝承文化財は国宝69420点、重文6521点におよび、平成6年12月世界文化遺産に登録されている。
 館前には醍醐深雪桜の巨木が満開の花を咲かせ、館内の休憩所からガラス越しに座ってゆっくり鑑賞できる。


 三宝院は代々の座主が住まう本坊。庭園は秀吉が基本設計し、その心が伝わってくるような庭で、国の特別史跡、特別名勝に指定されている。平安時代に造られた表書院(国宝)からは庭園全体が見渡せる。

◆醍醐寺唐門前で : 前列左から 田中功也、山本(村井)智子     後列中央:松本広治

 醍醐寺のあとは、世界ナンバーワンの人気観光都市京都、その中でも一番の人気を誇る伏見稲荷大社を巡る。どこも外国人観光客であふれている。(写真はPHOTO LIBRARY参照)


 京都駅前の居酒屋で、醍醐の桜の余韻に浸りながら冷酒、赤ワイン、焼酎に頬を染め、中学時代の思い出話は尽きることなく続いた。

 

 

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