近江路に紅葉の寺を訪ねて

      2018/01/08

 

 発足以来12年、老人大学ハイキング同好会は当初歩き主体で、きつい登り下りの10㎞前後のコースが多かったが、80歳を超える人も珍しくなくなった昨今、会員の体力の衰えとともに、観光主体のなだらかな5㎞前後のコースへと変化していくのは自然の流れか。今回の紅葉を愛でる平坦な6~7㎞のハイキングもその例に漏れない。

 秋も深まり一段と冷え込みが厳しくなった11月中旬の一日、京都の永観堂、東福寺、嵐山、奈良の談山神社、滋賀の湖東三山・西明寺などとともに関西の紅葉の名所ベスト10に名を連ねる滋賀県東近江市の永源寺周辺と湖南三山の一つ善水寺を巡った。

 8時半、堺市を出発し大阪市内を抜ける頃は雲一つない青空。絶好のハイキング日和と思われたが、琵琶湖に近づくにつれ黒い雲が空一面を覆い、永源寺ダムに向かって歩き始める10時半頃には小雨がパラついて、輝く陽光のもとでの紅葉狩りは望み薄となる。

 
 永源寺ダムとその周辺

 

 淀川水系愛知川の永源寺ダムは、古来より穀倉地帯として知られる近江盆地の灌漑用水として1972年に建設された高さ73.5mの多目的ダム。永源寺の上流にあり、紅葉や桜の名所でもある。

 
 永源寺ダム公園

 
 識呂の滝と周辺

 

 ダムの北側300mに2段25mの名瀑「識呂の滝」がある。晩秋でも豊かな水が流れ落ち、碧く澄んだ滝壺に浮かぶ落ち葉が陽を受けて黄金色に煌めく様を、疲れを忘れて見とれる。

 
 永源寺への道

 この日の関西は12月中旬の気温との予報。ダム付近は標高が高く大阪よりさらに4~5℃は低くかなり寒いが、永源寺へと下る道は紅葉の盛り。次第に青空が広がり美しく輝く紅葉が行く先々を彩って足も軽くなる。

 
 永源寺

 

 臨済宗・瑞石山永源寺は、室町時代のはじめ開山。2000人の修行僧が集い大いに隆昌したが、3度の失火、兵火に焼け落ち、江戸時代初期仏頂国師が入山し、後水尾天皇と彦根藩井伊家の帰依を得て再興。本尊の秘仏、聖観音像は俗に「世継ぎ観音」と呼ばれ、子授けの観音様として信仰を集めている。

 
 善水寺

 

 湖南市の岩根山・善水寺は、和銅年間(708年頃)に開山し、比叡山の別院として栄えた。入母屋造り檜皮葺の国宝の本堂内で、住職の法話を拝聴し、重要文化財の仏像の拝観を終える頃にはもう日は西に傾いていた。道の駅での買い物はカットして帰路につく。

 

 

 

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