予期せぬ訪問者――私の脳梗塞

      2016/12/20

神崎 誠志

 高齢になると年を重ねるにつれ、それまでに溜まったいわゆる生活習慣病から、色々な病気を発症することになるようです。私の場合は脳梗塞を患い、その時のことを報告いたしますので、頭の片隅にお留めおき頂き何かのお役に立てば望外の喜びです。なお、内容は素人の聞きかじりですので、間違いがあったらご指摘下さい。

 突然おそった眼の異常

 2012年7月末に会社で就業中突然、周りが眩しくなり(眼底検査で瞳孔を開いたような状況で、閃輝暗点という症状だとか)、近所の眼科へ直行しました。ところが待っているうちに平常に戻ってしまい、原因等が分からないままに帰社しました。後になって考えますと、これが脳梗塞の前兆で、梗塞した血栓が運よく通過したのでした。
 この時は原因不明のままで、眼科医には「脳神経外科に行くように」と言われましたが、間が悪いことにその時脳ドックを受けたばかりで、気にも留めなかったのです。

 悔やみきれない初期の対応

 同年9月末に退職し、約2か月後の11月19日10時に自宅で眩暈と閃輝暗点症状が再び発生したのです。前と同じように治るだろうと高を括って寝て休み、昼過ぎに自宅近くの眼科へ行ったところ、検査後に脳神経外科に行くようにと言われました。既に午後遅くなっており、翌日紹介状をもって脳神経外科病院に行きました。
 担当医はMRIの結果を見て、右脳後部に脳梗塞を起こしており(右脳の後側にゴルフボール大の白い部分がありました)、直ぐに入院ということになりました。4日目に退院しましたが、その時に医師から脳梗塞により脳細胞の一部が死んでおり、左半分の視野が欠損(同名半盲)している。残念ながら、この症状はiPS細胞が出来ない限り、一生回復しないと明言されました。
 初めて訪れた眼科医で、医師から脳梗塞の可能性があるとの説明があったら・・・、こちらももっと、キチンと詳細を訊いておけば適切な対応ができたのに・・・。 と悔やまれますが、後の祭りでした。

 発症後4時間が明暗を分ける

 脳梗塞の症状は、梗塞が起こった血管の先の脳の部位により色々な症状が出るようで、主に
●体の片側に痺れがでる。(顔、唇、指、手足等)
●真直ぐに歩けない、足がもつれる、つまづく、眩暈がする。
●お箸、ペンが手から落ちる。
●二重に見える。
●ろれつが回らない、声が出ない。
●言葉が理解できない、言葉が出ない、文字が書けない。
●頭痛、肩こり  等々
 従って、このような症状が出たら直ちに救急車を呼んで、病院に行くことが肝心です。血栓による脳梗塞は、発症後4時間以内であれば血栓溶解剤「t-PA」の投与によって血栓を溶解できるということです。また最近の新聞記事によると、大都市の病院では脳血管内の詰まりを取り除く「血栓回収療法」が推奨されています。
 なお、上記の症状が一時的に出ることを一過性脳虚血症といい、私の様に一旦治ることもあるそうなので、通常に戻っても必ず病院(脳神経外科)へ行くべきです。

 比較的軽くてすんだ後遺症

 さて退院後、自分では引っ越し作業もままならず家族の協力でやっと、予定していた12月12日に何とか故郷の福岡へ引越し致しました。
 それから4年経った現在、定期的に病院へ検査通いをしていますが、脳梗塞の後遺症で視野の左半分は認識できず、人や電柱にぶつかったりし易い状況なので人混みは疲れます。下手なゴルフを楽しんでいますが、左側に球を打つと見えないので若干の苦労があります。然しこの程度の後遺症で済んだことを感謝している今日この頃です。
 我が同窓会の前会長・藤野君も最近脳梗塞を患わられましたが、大変幸運で痺れが少し指にある程度でほとんど後遺症はなく、慎重に毎日を過ごされています。

 脳梗塞の原因となるのは生活習慣病です。治療中の方、覚えのある方は多いと思いますので、ご注意を!
*高血圧 *糖尿病 *高脂血症(悪玉コレステロール) *動脈硬化 *心房細動(不整脈) *喫煙、肥満  等々
 それでは皆さん、ご家族を含めて、脳梗塞の前兆を見逃さない様にしてお元気でお過ごし下さい。

 

 一つでも異常があれば、すぐ119番を!

欧米で用いられている脳梗塞のチェック方法で、「FAST」というのがありますのでご紹介します。

Face(顔)  顔の麻痺

「イー」と言って両方の口角があがり、顔や唇のゆがみがなければOKです。

Arm(腕)  腕の麻痺

両腕を手の平を上にして、肩の高さに上げて目をつぶり、そのまま数十秒間腕が下がらなければOKです。

Speech(言葉)  言葉の異常

「太郎が花子にリンゴをあげた」と言ってみましょう。何度かくり返し、言葉に詰まらずろれつが回れば大丈夫です。

Time(時間)

F、A、Sのどれか一つでも異常があれば、発症時刻を確認して、迷わず救急車で病院へ!

 - コラムの広場