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トランプ大統領とメルケル首相

      2017/05/05

 

 

予想を覆したトランプ大統領誕生

 昨年の世界最大のニュースは、なんといってもアメリカのトランプ大統領の誕生でしょう(就任は今年1月)。ほとんどの人が民主党のヒラリー候補が勝つだろうと思っていたからです。

 全国の得票数ではヒラリー候補がトランプ候補を286万票上回りましたが、州ごとに勝ち負けをきめるという選挙方式がこの結果を生みました。ヒラリー氏の敗因は、選挙戦術的にみると、これまで民主党の牙城であった、かつての工業地帯、いわゆる「錆びたベルト(ラストベルト)」とよばれる3州において僅差でトランプ氏に負けたことでした。

◆脱工業化が進み錆びついた工場

 

トランプ氏が掲げる「アメリカ ファースト」

 トランプ氏の勝利の背景には、反グローバリズムとポピュリズムがあると言われます。
「ヒト・モノ・カネ」が国境に関係なく自由に世界を動くことによって自分たちの仕事を奪い、生活を苦しくしている、これを推進している「既得権層」が自分たちの困難の元凶だ、という世界の理解の仕方です。トランプ氏のスローガンである、「アメリカ ファースト」は、とても分かりやすい「反グローバリズム」です。そしてトランプ氏は、ヒラリー氏を既得権層の代表として徹底的に攻撃しました。

 ちょっと考えてみれば、世界の200近い国家がすべて、「我が国第一」を主張すれば、国際社会が成り立たないことは分かり切っています。世界最強の軍事的、経済的国家であるアメリカが、「これからは俺の好きなようにやらせてもらうぜ」と言っているわけなので、いま、世界のもっとも大きな心配は、ここにあります。

 トランプ大統領はイギリスのEU脱退をほめあげて(オバマ前大統領は反対でした)、イギリスのメイ首相を激励しました。EUは、欧州の平和と繁栄のために1950年代後半から営々として作られてきた超国家的な国際協調のシステム(イギリスが抜けて現在27カ国参加)ですから、「我が国第一」主義と原理的に相いれません。

 トランプ氏は、狙いとする「敵」を、メキシコからの「不法」移民、外国からの難民、イスラム教徒、アメリカに貿易赤字をもたらす自由貿易体制(そのターゲットは、中国、ドイツ、日本の順です)、さらに地球環境保護のための法規制などに定めています。新政権の政策は、裁判所や議会の抵抗にあい、大統領の支持率も就任直後の時期として史上最低で上昇の兆しもありませんが、トランプ大統領が巻き返しのために何を仕掛けるか予断を許しません。

 

最悪のケミストリー(相性)、メルケル首相を拒絶

 前に「ドイツのお母さん」のタイトルで書きましたが、2015年の夏、ドイツのメルケル首相は、100万人に及ぶシリア難民のドイツへの到来に直面して、「人間の尊厳の尊重はすべての国家権力の義務である」というドイツ憲法第1条の規定がドイツ人だけに適用されるものではない、として難民受入れの基本姿勢を明示しました。トランプ大統領は、「難民保護なんて」という態度ですから、メルケル首相のこの姿勢を「ナンセンス!」と揶揄しました。メルケル首相も当然に、トランプ大統領が命令した難民やイスラム教徒などの入国制限措置が基本的人権を侵害し、人種差別・宗教差別になると表明しました。

 オバマ前大統領は、やめる直前、メルケル首相に電話をかけ、これから世界の自由と人権を擁護することについて「あなたが頼りだ」と言ったそうです。ドイツの週刊誌のインタビューに答えて「次の選挙で私に投票権があれば、メルケルに入れる」とまで肩入れしました。かれによると、「自分はリベラル右派、メルケルはリベラル左派」ということです。

 この3月中旬にメルケル首相は訪米し、トランプ大統領と会談しました。二人揃った記者会見で、記者が「握手をしてください」と言ったのをうけて、メルケル首相が「握手をしますか」と聞いているのに、トランプ大統領があさってのほうを向いたままだった写真が世界に配信されました。

◆メルケル首相との握手を拒絶するトランプ大統領

 メルケル首相は、すでに10年以上世界の首脳と渡り合っていますから、個人的に「ケミストリー」(相性)が悪くても、適当にこなすだけの器量を備えていますが、トランプ大統領は自分の気持ちに正直だったのでしょう。

 

EUの未来を左右するメルケル首相の続投

 ドイツは、来る9月に連邦議会選挙です。その前、5月にはフランスの大統領選挙です。フランスでは、反EU・親トランプ(そして親プーチン)の「国民戦線」ルペン党首が最有力候補になっています。ルペン大統領が実現すると、独仏連携で進めてきたEUが大変なことになります。

 ドイツの反EU・親トランプの極右政党「ドイツのための選択」は、難民問題の激化のなかで勢力を伸ばしましたが、連邦議会選挙の焦点は、メルケル首相が政権を継続するか、あるいは、現在議会第2党である「社会民主党」の第1党進出で左派連立政権が誕生するかです。社会民主党は、選挙を戦う首相候補者として前EU議会議長を擁立し、支持率を伸ばしています。この候補者は、「トランプ大統領に会ったら、あなたの民主主義の考え方は間違っている、と明確に言う。メルケルは言えないだろう」と勇ましいです。

 

なんとなく 気が合いそうで 恐ろしい(朝日川柳)

 ついでですが、安倍首相は、トランプ大統領をすでに二度訪問しました。最初の訪問の際に「トランプ新大統領と未来の夢を語り合いたい」と言ったのは、正直驚きました。「未来の夢」ってなんだろう、ですね。

 巷の川柳で「なんとなく 気が合いそうで 恐ろしい」

と皮肉られたように、安倍首相自身がトランプ氏のほうがオバマ氏より話しやすいと言っていますから、ケミストリーが会うのでしょう。トランプ大統領の「入国制限措置」について、安倍首相は「アメリカの国内問題だ」としてコメントをしませんでした。

トランプ大統領について一番の不安は、国防費の大幅増額を決め、核保有の増強を明確にしていることです。安倍首相は、日本の防衛力拡充および米軍と自衛隊の共同軍事行動の強化を約束してきたと伝えられています。北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ISBM)開発問題が騒がれる中で、トランプ大統領がどう出るか、本当に心配なことです。

 

 

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