「日本学術会議」という科学者組織が、戦後、法律によって設立され、1949年1月から活動しています。当会議は、学術の立場から政府や社会に対して科学的助言を行うことが役割で、独立して職務を行うことが法律によって保障されており、設立当初は「学者の国会」とマスコミが評しました。
以降、紆余曲折があり、言うことを聞かない、役に立たない、目障りだ、言うことをきく組織に変えようと政府が思いたち、5年越しのすったもんだの挙句、《政府から独立して職務をおこなう国の機関》から、《政府の政策手段としての特殊法人》に変えられてしまいました。名称は同じですが1948年制定の「日本学術会議法」を廃止し、新たに「日本学術会議法」が2025年6月に成立しました。国も支援するが自分で稼げ、活動を政府がチェックし、評価して支援額を決める、という今様のやり方になります。
日本学術会議は、これまで、すべての分野の科学者から選考された210名の会員からなり、選考は科学者が自ら行い、任命を形式的に首相がおこなうことになっています。2020年10月に当時の菅首相が、科学者の選考した会員候補者のうち6名の任命を拒否したことが今回の政府の介入の発端でした。この件は国会で野党が相当に突っ込んで批判しましたが、理由も、決定のプロセスもいまだに明らかでなく、任命拒否された科学者と支援する1000名を超える弁護士がことの真相を究明すべく政府に対して情報公開請求訴訟を進めています。
日本学術会議会長は、会員の互選によって選ばれます。現在の会長は第20代ですが、存命の会長OBが6名いてぼくもその一人で、最年長がぼくより一回り上、最年少がぼくより一回り下、ちょうど中間にいるぼくがみなさんの意見をまとめて、この間、5回、首相に対する要望を声明として出しました。法案が成立したあとも、それでも石破首相に対して、科学者組織の独立性と自主性を首相として擁護してほしいと声明を出しました。来年10月に特殊法人に移行する準備がいま進められています。どうなるか心配していますが、現役の会員にがんばってもらうほかありません。どんな政権ができるにせよ、もうすこしまともになってほしいと思うことしきりです。