寿禄短歌の会・市丸幸子(十三)◎風花の侯new

   

 

 寒中お見舞い申し上げます。暮れからお正月にかけて、新春を迎えるにふさわしい芸能とスポーツの二つの祭典を観戦し、華やかな舞台の陰にあるもう一つの物語に思いを寄せる機会がありました。一つは日本一の漫才師を決める笑いの頂上決戦「M-1グランプリ」、もう一つは大学駅伝の華「箱根駅伝」。そこで改めて気づいたこと、華やかな勝者の陰には、多くの「敗れ去ったものたち」がいるんですよね。今回はそんな敗者たちへの想いを短歌にし、さらに雪にまつわる思い出を詠んでみました。

 

◎敗れ去りしもの

 「Mー1グランプリ」は、結成15年以内の漫才師の中でその年一番面白いコンビを決めるコンテストで、2024年のエントリーは1万330組。その頂点に立つただ一つの王座をめざして、若手漫才師たちが1年をかけ、まさに命がけの闘いを繰り広げます。

 そこには実力はもちろん、運不運の要素も加わり、審査員のわずか1点の差に翻弄され、実力がありながら栄冠を手にできず、絶望し目標を見失ってしまうコンビも。それでも彼らにとって「Mー1」には特別の魔力があるようで、毎年多くのドラマが生まれ、私たちお笑いファンを魅了してくれています。

 

 箱根駅伝の"給水係"はランナーにゆかりの深い人が選ばれるわけですが、中には陸上部に所属しながら、4年間一度も箱根駅伝の本戦を走れなかった選手が選ばれることもあるそうです。わずか数秒、50メートルだけ許される箱根路ラストラン。無事ランナーに給水を済ませたあと、万感の思いを込めて箱根路に一礼をする姿は胸に迫ってきます。

 

◎雪二題

 大晦日の夜、京都・八坂神社で催される「をけら詣り」の思い出を詠んだものです。

 

 母が亡くなった朝は、福岡では珍しく十数年ぶりに大雪が降った日でした。豪雪地帯とは比べものになりませんが、今年福岡にもささやかな雪が降り、あの時窓の外に見た、母が丹精していた花壇が雪に覆われた光景を思い出し短歌にしてみました。

 

 

 

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