ベネルクス3国とドイツ中西部を巡る旅 ②ベルギー編
2024年5月6日(月)午後1時半過ぎ、ルクセンブルクからベルギーとの国境を越える。
曇り空で気温は20℃を下回り、湿度も低くすこぶる快適。ドイツのハリボウのアウトレットが休日で行けなかった代わりに、ノイハウスのアウトレットへ。4時40分着。ご近所や友人たちに配るチョコレートを買い込む。
5時過ぎブリュッセルに向けて出発。ブリュッセルの南方17kmには、1815年イギリス・オランダ連合軍などがナポレオン・ボナパルト率いるフランス軍を破ったワーテルローの古戦場がある。両軍合わせて30万人の兵士が激突し、半日の戦いで5万人が死傷したナポレオン最後の戦場である。観光の団体ツァーの始まりがイギリスからワーテルローの戦場を見に来る旅行だったという。その後行き先がスイスなどに広がり、団体ツァーが世界に広まっていく。
地道を走り6時前ベルギーの首都ブリュッセル着。16℃。駐車場の近くに、ベルギー王室の冠婚葬祭や戴冠式に使用されるゴシック様式の聖ミッシェル大聖堂がある。13世紀に建てられた。外観のみ見て、6時グランプラスへ。訪れるのは12年振り。街は近代的高層ビルが建ち並び様変わりしているが、芸術家ジャン・コクトーが「世界で最も美しい広場」と賞賛したグランプラスは何も変わっていない。
グランプラスは、ブリュッセルの中心部にある縦110m、横68mの長方形の広場。中世におけるブリュッセルの繁栄を物語るもので、世界で最も美しい広場のひとつと言われている。15世紀に建てられたゴシック様式の市庁舎や、ブリュッセル市立博物館(王の家)、ブラバン公爵の館、ギルドの絢爛豪華な建物群が四囲を囲んでいる。
広場を囲む建物群:ギルド・ハウス、右に見えるのは市庁舎 右)ブリュッセル市庁舎
左)広場を取り囲む建物群:ブラバン公爵の館 右)中央市立博物館(王の家)
広場は、もう何度となく訪れ何百枚も写真におさめているが、改めてシャッターを押し続ける。
上3枚)ギルドハウスの多彩な造形デザインは、見ていて飽きることがない。
バス移動中降っていた雨があがる。お決まりの「小便小僧」などを見たあと、有名なショコラティエが集まるヨーロッパ最古のアーケード、ギャルリー・サンチュベールを通り抜けた所で、フリータイムとなる。アーケードは、鉄とガラスが織りなすアールヌーボー様式の屋内ブティック街。
左)ギャルリー・サンチュベール 右)同アーケードの入口
先ず、本場のワッフルを賞味。何もトッピングしていないのが美味しい。3ユーロ(520円)。次に、グランプラスに面したゴディバの本店で添乗員が勧める生の苺をチョコレートでくるんだ菓子を買う。1個3.5ユーロ(610円)。旬の苺の酸味と甘くにがいチョコレートの美味しさが同時に口の中に広がり、幸せな気分。
7時、広場近くブリュッセルの食い倒れ横丁「イロ・サクレ地区」のレストランで夕食。魚のスープにメインはムール貝の白ワイン蒸しとポテトフライ。ブリュッセルに来る度にオーダーしている名物料理。今回も期待していたのだが、季節が早かったせいか貝の身が痩せていて、その美味しさが味わえず落胆。
左) イロ・サクレ地区のレストラン 右) ムール貝の白ワイン蒸
旅の4日目、ブリュッセルの朝は曇り空。7時朝食で8時出発と慌ただしい。立派なホテルだが、食事の内容はいまひとつ。外国人グループのマナーには閉口。
バス移動中ずっと小雨が降り続いていたが、9時16分フランダース州の州都ゲント(ヘント)に到着する頃にはほとんど止んでいた。14℃で冷んやりする気温。
ゲントはスヘルデ川とレイエ川の合流点に開け、花の都の呼称をもつ。中世ブルージュとともに毛織物業で栄えた繁栄の面影が町のあちらこちらに色濃く残っている。現在はベルギー有数の工業都市であるとともに大学都市でもある。
路線バスに乗り換えて10分。コーレンマルクト広場へ。ゲントを代表する3つの塔を見る。13~4世紀に建造された鐘楼。高さ91mの塔の頂にはゲントのシンボルであるドラゴンの像が輝いている。
広場の東には聖ニコラス教会。13世紀建造でスヘルデ・ゴシック様式。十字を強調する塔を中心に、直線と曲線が見事に調和している。聖ニコラスは漁師と船乗りの守護聖人。船乗りたちはここで航海の安全を祈った。
上・下左・下中)ゲント市街 下右)聖ニコラス教会
もう一つの塔のある聖バーフ大聖堂へ。ゲント旧市街の中心地バーフ広場に面して建つ聖バーフ大聖堂は、神聖ローマ帝国皇帝カール5世が洗礼を受けた格式ある大聖堂。12世紀頃に建設が始まり、完成までに4世紀を費やした。塔の高さは88m。
上左)聖バーフ大聖堂外観 他の4枚)聖バーフ大聖堂内部
◆聖バーフ大聖堂内のステンドグラス
聖バーフ大聖堂はまた、数々の芸術作品が収蔵されていることでも名高い。中でも最大の見どころはファン・アイク兄弟の「神秘の仔羊」(1432年)。上下2層に分かれ、全体は11枚の独立した絵画から構成される三連祭壇画。開閉可能な翼画はその裏面にも絵が描かれている。下層中央に黙示録の「神秘の仔羊」。キリストを表す神秘の仔羊の諸聖人による礼拝と、全人類の魂の救済を細部まで精緻に描写している。みずみずしい感覚と光と大気まで描こうとする再現的写実の魅力、15世紀フランドル絵画の最高傑作といわれている。
祭壇画は扉に閉ざされている。前回12年前に来た時には扉はなく、すぐに観られたのだが…。定刻になってゆっくりと厳かに扉が開いて「神秘の仔羊」が姿を現し、待ち構えていた人々から嘆声が漏れる。絵は記憶していたより大分大きい。地元の?小中学生の団体がいくつも見学に訪れている。
◆神秘の仔羊の翼画
◆神秘の仔羊
他にルーベンスの「聖バーフの修道院入門」などを鑑賞。
レイエ川に架かる聖ミヒャエル橋上からグラスレイの眺めを楽しむ。中世、港として栄えたレイエ川河岸の東側をグラスレイと呼び、ブラバンド・ゴシックの船頭の家(1531年)、バロックの穀物計量の家(1698年)、フラマン・ルネサンスの穀物計量の家(1682年)、ロマネスクの倉庫(1200年)、フラマン・ルネサンスの穀物計量の家(1435年)、ブラバンド・ゴシックの左官職の家(1527年)と壮麗なギルド・ハウスが並ぶ。
対岸をコーンレイ(穀物河岸)と呼ぶ。こちらの建物の多くは20世紀に復元された。
左) 鐘楼とコーレンマルクト広場 右) レイエ川
左) 聖ミヒャエル橋の聖ミヒャエル像 中) グラスレイとフランドル伯居城 右) グラスレイ
再び路線バスに乗り駐車場に戻る。空は晴れ上がり快適。11時25分出発。12時にはブルージュに着く。
ブルージュは、「橋」の意味。50以上の橋が運河に架かる水の都。13~4世紀にハンザ同盟の主要都市として栄えたが、15世紀末運河の沈泥で船の出入りができなくなり町の発展が止まった。そのため中世のままの風景が残り、"天井のない博物館"といわれている。
12時16分、旧市街の中心部に近い運河沿いのホテルに荷物を置き、マロニエの花咲く懐かしの市街地を歩いて12時40分、マルクト広場に面したレストランへ。
左) ブルージュ旧市街と運河クルーズ船 右) マルクト広場
広場にはキリスト昇天祭に備えて仮設のスタンドが設置されている。12年前娘や孫たちと来た時に利用した郵便局がなくなり、ドラックストアになっていたのには驚く。
左)ブルージュ州庁舎 右)市庁舎
2時40分にノートルダム聖母教会へ。
上・下左・下中)ノートルダム聖母教会 下右)運河から見たノートルダム聖母教会
ノートルダム聖母教会は、13世紀に建造され15世紀まで改築を重ねたため、ゴシック様式をはじめいくつかの建築様式が混在している。高さ122mのレンガの塔が印象的。ミケランジェロの白大理石の彫刻「ピエタ(聖母子)像」を観る。イタリア以外でミケランジェロの作品が見られるのは希少。
◆ノートルダム聖母教会の内部
◆ノートルダム聖母教会のステンドグラス
今回の旅で訪れるどの教会の内部もその素晴らしさには声もない。何回も訪れているのに来る度に感動を新たにしている。
3時17分、オードリーヘップバーンの映画「尼僧物語」のロケ地「ベギン会修道院」へ。フランドル地方にはベギン会修道院がいくつか点在しているが、なかでもここは豊かな自然のなかにある美しい修道院として知られる。現在はベネディクト派の修道女が暮らす。
◆べギン会修道院
3時22分、白鳥が群れ憩う鮮やかな緑に囲まれた「愛の泉公園」へ。ベギン会修道院に隣接し、かつてはブルージュとゲントを結ぶ水上輸送の波止場だった。幼かった孫たちと巡った記憶が蘇り何とも懐かしい。
◆愛の泉公園
◆愛の泉公園からノートルダム聖母教会を望む。
3時50分から4時20分まで運河クルーズを楽しむ。旧市街数ヶ所にクルーズ船の発着場があるが、次々に出発するどの船も溢れんばかりの観光客を乗せて勢いよく水を切って行く。街路から眺めるのと違って水面の低い視点から「天井のない博物館」を眺めるのもまた一興。添乗員に言われて下船時に船頭に心付けを渡したが、見ていると日本人以外渡している人はいない。妻と2人で1.5ユーロ(260円)と僅かな金額だったが…。
◆運河クルーズ船からの眺め
◆クルーズ船
4時半ホテルにチェックイン。部屋の窓からすぐ前の運河やノートルダム聖母教会の塔がよく見える。貴族の館だった建物を改装したホテルは、立地も設備も申し分ない。
5時ホテルを出て、添乗員の案内でスーパーマーケットへ。お土産などを物色して解散。各自思い思いに夕食のレストランへ。添乗員は中華料理の店を勧めてくれたが気が進まず、ワーレルゾーイを出すベルギー料理の店を捜して歩く。2~3の店に聞いてみたが、今の季節は作っていないとのこと。適当な店に行き当たらず、昼と同じマルクト広場のレストランに入る。
パスタ(カルボナーラ)とチェリービール、妻はアップルジュース。ヨーロッパのレストランに個人で行くと、日本の優に2倍はあろうかというボリュームの料理が出てきて圧倒される。2人で1人前を注文してシェアすれば十分であることをうっかり忘れていた。チェリービールはさっぱりした感じでなかなか美味しい。
パスタが19×2=38ユーロ、ビール5.9ユーロ、ジュース3.8ユーロ、合計47.7
ユーロ、チップ込みで50ユーロ(8,650円)を払う。同じジュースが昼は6ユーロだった。チップ込みにしても違い過ぎる。外国人料金?
左)パスタ カルボナーラ 右) チェリービール
広場には15分毎に教会の美しいカリヨンの音が鳴り響き、旅情をかきたてる。
◆夕暮れの州庁舎
まだ十分に明るい7時半ホテルに戻る。今日は1日で18,250歩、12.7km。よく歩いた。湯船につかって手足を伸ばし、疲れを癒す。
旅の5日目、古都ブルージュは曇り空。気温9℃で冷んやりしている。7時50分朝食。質量ともにしっかりしている。大量に食べる女性が2人。
9時ホテル出発。運河を船が通り、跳ね橋が上がってしばらく待たされる。10時40分ベルギー第2の都市アントワープ着。
世界有数の港を有し、15世紀以来のダイヤモンド研磨と取引の歴史を誇る。17世紀、この街出身のルーベンスが膨大な数の作品を発表した。現在は斬新なベルギーファッションの発信源になっている。
◆16~7世紀のギルド・ハウスが建ち並ぶマルクト広場
◆マルクト広場に面して建つアントワープ市庁舎、ベルギー最大のルネサンス建築。
◆市庁舎の前には、その昔街を救った伝説が残る古代ローマの勇士ブラボーの像が建つ。
現地日本人ガイドの案内で11時15分ノートルダム大聖堂へ。フランドル地方で最も巨大なゴシック様式教会。1352年に建築が始まり、高さ123mの北塔が完成するまで169年かかった。その後も増築が続けられたが資金難で南塔は完成しなかった。内部には「フランダースの犬」でネロ少年がひと目見たいと憧れたルーベンスの三連祭壇画が展示されている。
左) ノートルダム大聖堂 左北塔、右南塔は未完成 右) 同入口
◆ノートルダム大聖堂内部
◆ノートルダム大聖堂の天井画
◆ノートルダム大聖堂のステンドグラス
ガイドは、ベルギー在住20数年という上品な感じの中年女性で説明も分かり易い。ルーベンスの傑作「キリスト昇架」(1610年)、「聖母被昇天」(1625~26年)、「キリスト降架」(1612~14年)、「キリスト復活」を観て回る。
左) ルーベンス 「三連祭壇画」(中央がキリスト昇架)、右)聖母被昇天
左)キリスト降架 右)キリスト復活
大聖堂を初めて訪れた2008年5月からもう幾度となく鑑賞しているが、何回観ても素晴らしくその場を去りがたい。四囲を飾るステンドグラスや天井画もまた美しい。
◆ノートルダム大聖堂をバックに建つルーベンスの像
カルフールでクッキーを土産に買って、12時40分レストラン「イデン」へ。サラダの後、メインに食べたかった「ワーテルゾーイ」が出たが、かつて食べたものと違いもうひとつだった。ワーテルゾーイはゲントの郷土料理。ワーテルは「水」、ゾーイは「茹でる」という意味で、鶏胸肉、玉ねぎ、にんじん、セロリ、長ねぎ、ジャガイモ、バター、生クリーム、卵黄、白ワイン、パセリなどのクリーム煮のような煮込み料理。
デザートはワッフル。アップルジュースが5ユーロ(870円)でビールと値段が変わらない。
左) ワーテルゾーイ 右) ワッフル
2時バスで出発。真っ赤なアマポーラ(ケシ;日本ではオレンジ色)が咲き競うなか2時半オランダとの国境を越える。
ベネルクス3国とドイツ中西部を巡る旅 ③オランダ編につづく

























































































































