東北さくら巡り

      2022/09/01

◆弘前城の天守閣と桜

みちのくの桜前線を追いかけて

 関西なかんずく京都には桜の名所が数多いが、北の国にもそれらに勝るとも劣らぬ魅力あふれるあまたの名桜がある。14年前、春爛漫の季節 “日本のさくら名所100選”に選ばれた東北3県の桜の名所を2泊3日、駆け足で巡った。

◆東北さくら巡りMAP(クラブツーリズムHPより)

 2008年4月23日、大阪・伊丹空港を昼の便で発って、1時半仙台空港着。バスで岩手県の盛岡市へ。途中車窓から、頂上付近が雪に覆われた南部富士・岩手山(2038m)の全容が望めた。めったに見えないという、幸運だった。早池峰山や八幡平も見える。うっすら雲が出ているが、よく晴れて気温21℃。県庁の駐車場に着いたのは、閉鎖15分前の4時45分。

 盛岡の石割桜

 1ヶ所目の名桜は、盛岡地方裁判所前の石割桜。天然記念物のエドヒガン桜で、樹齢360年。周囲21mの巨大な花崗岩をパックリ割って咲いている。大きな盆栽を見るよう。すでに散り始めていて満開時の美しさはないが、逞しい生命力を感じさせる。夕方の弱い光にくすんでいた。

◆盛岡の石割桜

 小岩井農場の一本桜

見る人を一瞬で魅了する圧倒的な存在感

 5時半、2ヶ所目の名桜小岩井農場の1本桜へ。2007年上期に放映されたNHKの朝ドラ「どんと晴れ」に出てくる。
 かなり遠方で夕闇が迫り、きれいな写真は撮れなかった。車窓に見る桜並木は見事で、道
路沿いには白い水芭蕉の花がたくさん咲いていた。

◆小岩井農場の一本桜

 この日の宿は、秋田県仙北市の田沢湖の畔。夕食で楽しんだ出羽鶴の生酒は、14度のあっさり味。コクが足りない感じ。8時頃、湖畔の散策に出たが暗くて何も見えず、早々に引きあげる。

◆出羽鶴

 田沢湖畔の桜

神秘的な瑠璃色の湖面と辰子姫伝説

 4月24日、旅の2日目は曇り空。6時過ぎ、湖畔を散策。瑠璃色の湖面と辰子姫伝説で知られる田沢湖は、神秘的な雰囲気をたたえている。周囲20㎞、水深423mで日本一の深さを誇る。岸辺に白い波が打ち寄せている。桜は満開。寒くてセーターを重ね着。

◆田沢湖畔の桜

◆辰子姫像と田沢湖

 角館の桜

武家屋敷の黒塀に映える400本の枝垂れ桜

 8時10分過ぎ出発。30分でみちのくの小京都、秋田県角館町に着く。雨が降り始めていた。2~3日前に満開と聞いていたが、名桜3ヶ所目の武家屋敷街の枝垂れ桜はほとんどが散り終えていた。「みちのく三大桜」の一つで“日本さくら名所100選”に選ばれている。武家屋敷に咲く淡いピンク色の枝垂れ桜の幻想的な美しさを期待していたが、なかなか満開のタイミングには巡り合えないもの。現在残っている建物は、武家に属さない中級・下級武士の住まう侍屋敷。本来の武家屋敷はほとんど残っていない。

◆角館武家屋敷の枝垂れ桜は葉桜に

 樺細工伝承館の庭の濃いピンク色の枝垂れ桜はちょうど見頃を迎えていた。桜の皮で作った樺細工の電気スタンドを記念に買う。前回来た時には迷って購入しなかった。

◆角館樺細工伝承館のピンクの枝垂れ桜

◆仙北市桧木内川堤の桜

 秋田新幹線の「こまち」が通る。水芭蕉の群落がそこここに見える。いったん盛岡市に戻り、高速道路に乗る。山の新緑、白い山桜、霧にかすみ重なり合う紫の山々、これぞ日本!という景色が続く。山中では8℃の所もあったが、平地はそれほど寒くない。

◆太宰治の生家

枝が天に向かって伸びる慶応桜があちこちで美しく花を咲かせている。太宰治の生家の前を通り、2時前、青森県五所川原市の芦野公園へ。津軽半島屈指の桜の名所。名桜4ヶ所目。

 芦野公園の桜

◆津軽鉄道・芦野公園駅

 芦野公園の桜はまさに今が満開。見事というほかない。

◆青森・五所川原市芦野公園の桜

 雨が降り続く。2時半過ぎ、津軽鉄道花見列車に乗る頃には、雨、風ともに強まり桜が散り始めた。4月29日~5月6日の「さくら祭り」の頃には葉桜になってしまいそう。3時前、終点の「津軽中里駅」着。

 弘前城址公園の桜

水面を埋める花びらの絨毯——"花筏(はないかだ)"夢幻

 3時出発。4時20分過ぎ、青森県弘前市の弘前城址公園へ。名桜5ヶ所目。「みちのく三大桜」で“日本のさくら名所100選”。弘前は津軽藩の都として栄え、今も城下町の風情が残る。東北で唯一、江戸時代に建造された天守や櫓が現存している。国の重要文化財。城内の桃色の枝垂れ桜はまさに今が盛り。あまりの美しさに息をのむ。桜の木の数の多さといい、これほど見事な桜は見たことがない。雨が小降りになり夢中でシャッターを押し続ける。お堀は散り敷いた桜の花びらでピンク色に染まり、水面が見えない。

◆弘前城の堀 桜の落花でピンクに染まる

弘前城の桜:スライドショー(横11枚)

 弘前城天守閣は、この後、石垣修理工事のため曳屋(ひきや)が行われ、現在の位置から数百メートル移動するという。

弘前城の天守閣と桜:スライドショー(横7枚)

◆岩木山

荒海が目に浮かぶ津軽三味線の演奏

 6時前に出発し、7時過ぎ、浅虫温泉の宿へ。1200年以上の歴史があり、「青森の奥座敷」と呼ばれる。冷酒「じょっぱり」や津軽三味線の演奏を楽しむ。

◆津軽三味線の演奏

 4月25日朝、宿の展望大浴場からの陸奥湾の眺めが素晴らしい。8時ホテルを出発。高速道路からは、雪の安比高原や八甲田山がよく見える。雪の岩手山が大きく迫る。曇り空で気温11℃。

 北上展勝地の桜

北上川沿い2kmに咲き誇る一万本の桜のトンネル

 12時20分過ぎ、岩手県北上市、北上川河畔の「北上展勝地」へ。名桜6ヶ所目。珊瑚橋から2㎞にわたり1万本の桜並木が続く。「みちのく三大桜」で“日本さくら名所100選”。桜はすでに終わっていて、散り残った花びらが風に舞っている。

◆北上展勝地の看板と桜

◆北上展勝地の満開の菜の花

 北上川を巡る遊覧船に乗り、船上から展勝地の桜を観る。風が冷たい。頭上に300匹の鯉のぼりが泳いでいた。たくさんの観光バスが連なっている。

◆左)北上川の遊覧船、右) 300匹の鯉のぼりと桜

◆左)こぶしの花、右) スイセンの花

 仙台空港で、生ビールに名物牛タンや海鮮丼を楽しむ。6時前、仙台を飛び立ち、7時に伊丹空港帰着。

- 完 -

 

 

 

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