星雲の輝き・曜変天目茶碗

      2019/07/22

 

 

 koya tanaka 田中 功也

 

◆曜変天目茶碗

◆曜変天目茶碗

◆玄奘三蔵絵

◆奈良国立
博物館

◆奈良国立博物館

◆奈良国立博物館

◆奈良国立博物館

 

 

 今、奈良国立博物館で「藤田美術館展」が開かれている。目玉は世界に3点しか残っていない国宝中の国宝「曜変天目茶碗」。口径12センチ、手のひらにのる小さな茶碗。混雑を避け、5月17日、平日の午後に行ったが、それでも観るのに30分ほど行列した。
 窯の中での万に一つの奇跡によって生み出された「曜変天目茶碗」。その妖しいまでの青色の美しさに声もなく見入る。他の2点は、京都の大徳寺龍光院と東京世田谷の静嘉堂文庫美術館が所有しているが、青色の美しさで藤田美術館が抜きんでている。

 曜変の曜には光り輝くという意味があり、夜空の星のような光彩を放ち、窯の中で変化したいわゆる窯変を「曜変」と称している。また、天目とは中国浙江省の天目山に由来する茶碗の意味で使われていたが、黒釉の茶碗一般をさすようになった。
 曜変天目は中国の宋時代(960~1279)に福建省の建窯で製作された茶碗で、そのすべてが日本に伝世し、上述の3碗はすべて国宝に指定されている。
 曜変天目の内面には大小様々な円形の斑文が不規則に表れていて、斑文の周辺が青く輝き、それらの間の一部には放射状の青い筋が見えるのが特徴。宇宙空間に輝く星雲のような光彩を放ち、とても人為的に制作された作品とは思えない不思議な美しさ。

 曜変天目茶碗の他、三蔵法師玄奘の生涯を描いた「玄奘三蔵絵」、「紫式部日記絵詞」、「花蝶蒔絵挟軾」、「仏功徳蒔絵経箱」、「大般若経」の国宝5点や、「地蔵菩薩立像」、「伎楽面」、「埴製枕」、「交趾大亀香合」などの重要文化財多数が展示されている。
 鎌倉時代(14世紀)の「玄奘三蔵絵」の鮮やかな色彩には驚くばかり。
 藤田美術館は今、建て替えのため休館中で、2022年4月にリニュウアルオープンする。大阪市都島区なので近い。じっくり鑑賞できそうである。

 

 

 

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