新日本歳時記/寿禄会版・粉雪

      2023/10/30

◎今日の一枚/レミオロメン「粉雪」を聴きながら

 粉雪はどの雪とも違う。しんしんと音もなく降りつもる映像だけの世界――sounds of silence. 降りしきる無数の雪片がつくる見えない階段は、まるで遠い日と今をつなぐ時のトンネルのよう。手をのばせば、遠いあの日へと連れて行ってくれる幻の馬車になる。でも、悔い改めてもだめだよ。それはまぼろし。すぐに消えてしまう、哀しいカボチャの馬車なのだから。

追想

市丸 幸子

 レミオロメンの「粉雪」を初めて聴いたとき、これは自分のことだと感じました。

粉雪 ねえ 心まで白く染められたなら
二人の孤独を分け合うことができたのかい

粉雪 ねえ 永遠を前にあまりに脆く
ざらつくアスファルトの上 シミになってゆくよ

粉雪 ねえ 時に頼りなく心は揺れる
それでも僕は君のこと守り続けたい

You Tube : レミオロメン「粉雪」

 人と人の出会いは、あの日あの時あの場所でというすべての条件が重なって起こるほとんど奇跡と言っても過言ではありません。そんな大切な人なのに、ほんの些細な行き 違いから相手を傷付け、二人の未来を壊してしまったことはありませんか。

 一年に一度、雪が降った日は、そんなことを思い出し、「あの人はどうしてるかな」って幸せを祈ったりするのも、長く生きてきた大人の嗜みですね。

 

 

 

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