新日本歳時記/寿禄会版・光の春

      2023/07/29

◎今日の一枚/美しい気象用語――光の春

 「光の春」――いかにも俳句の季語にありそうな美しい言葉ですが、季語ではありません。実はこの言葉、NHKの気象キャスターでエッセイストとしても活躍した故倉嶋厚さんが、ロシア語のBECHA CBETA(ベスナー・スベータ、光の春の意味)を翻訳したもので、早春の2月を指す言葉です。
 日本では、春といえばまず気温の上昇がイメージされますが、春になっても気温が氷点下10度、20度というロシアでは、気温より先に光の変化で春を感じるのだとか。気温は低く、風はまだ身を切るように冷たくても、晴れた日に太陽の光が燦燦とふりそそぎ、厳寒のシベリアでも、軒の氷柱から最初の水滴のひと雫が輝きながら落ちる瞬間、それが光の春だと倉嶋さんは気象エッセイの中で述べています。※編集部

撮影者

田中 功也
 「光の春」の言葉はロシア語に由来し、冬の長いロシアで徐々に日が長く、空が 明るくなっていく2月のことを指す。
 2月も下旬、日脚は着実に伸びて日差しも強まってきた。2月22日午前、散歩道のメタセコイヤ、コブシ、庭のボケや黄水仙は光りを浴びて輝き、春間近を感じさせる。

撮影日

2023年2月22日

撮影場所

大阪府和泉市

 

 

 

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