今宮戎神社の十日戎

      2019/02/10

 

 

 koya tanaka 田中 功也

 

 

 

 

 

 今冬一番の寒さに見舞われた10日朝、十日戎(とおかえびす)の本戎(ほんえびす)で賑わう大阪市浪速区の今宮戎神社を訪れた。
 十日戎とは、漁業の神、商売繁盛の神、五穀豊穣の神「七福神」の戎(恵比寿)様を祀るお祭り。毎年テレビのニュースで取り上げられ福男選びで有名な西宮神社(兵庫県)、京都ゑびす神社、今宮戎神社が日本三大えびす神社とされる。
 どんよりした曇り空だが風はなく寒さはあまり感じない。南海電鉄の「今宮戎」駅から参拝の人波が神社まで続く。参道には縁起物や熊手を売る店が軒を連ね、客を呼ぶ声が賑やかに響く。
 狭い神社の境内は人であふれ、周囲から「商売繁盛で笹持って来い!」の掛け声や、縁起物、熊手を売る声が交差して大阪の初春の風物詩を彩っている。毎年1月9日(宵えびす)から11日(残り福)までの3日間の祭りに100万人が訪れるという。帰途に就く10時半頃には正門は入場制限が敷かれていた。

 豊臣時代に大坂の市街が発展し、江戸期になると大坂は商人の町として一層の繁栄を遂げる。期を一にして今宮戎神社も大坂の商業を護る神様として篤く崇敬されるようになった。十日戎の行事もこの頃から賑わいを見せ、延宝3年(1675)、現存する最も古い大坂案内の図「葦分舟」にも十日戎の状景が描かれている。
 また、江戸初期の俳人小西来山の句集、中期の大田魯山人の紀行文にも十日戎が記されている。明治以降十日戎はより一層盛んになったが、昭和20年の戦災で神社は焼失。昭和31年本殿などが復興して再び十日戎も活況を呈するようになる。

 十日戎の笹は、孟宗竹の枝。竹は古来、神霊が宿ると信じられてきた。日々、「いのち」が甦り、生成発展している姿を象徴している。
 たくさんの応募者から選ばれた40名の金烏帽子に千早姿の福むすめが、福笹授与所で笹を無料で授与している。参拝者が商売繁盛や1年の福を授かろうと吉兆や大判小判などの縁起物を求め、福むすめに福笹に結びつけてもらう。

 たくさんの縁起物をつけた福笹を持って帰る人たちと去年の福笹を返しに神社に向かう人たちが行き交う駅前は、さらに人波がふくらんでいく。

 

 

 

 

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