ボヘミアの古都プラハ・ベルリンとドナウ旅情(4)

      2022/09/01

- 旧市街市庁舎と仕掛け時計 -

 
 

露店やストリートパフォーマーで賑わう中欧最古の石橋

 プラハ城を出て20分ほど歩くと、中欧最古のカレル橋に到着。石造りの橋は人、人、人であふれている。写真を撮り、ヴルタヴァ(モルダウ)川の流れや対岸の旧市街の眺めを楽しむ。よく晴れて今日も暑い。

◆左) プラハ市内マラー・ストラナ地区 中央丘の上にみえるのがプラハ城、右上) カレル橋への登り口、右下) 観光客で賑わうカレル橋、中央に見えるのがマラー・ストラナ橋塔 右がプラハ城

 カレル橋は、旧市街とマラー・ストラナ地区、プラハ城を結ぶプラハで最も人気のある観光名所。幅の広いカレル橋は渡る橋というより広場のようで、大道芸人や音楽家がパフォーマンスを行い、多くの露天商が店を広げている。

 橋の建設に着工したのは1357年のことで、当時の架橋建設としては非常に高い技術を要し、完成したのは1402年。石橋は、幅9.5m、長さ516m。ヨーロッパ中世建築の頂点に立つ傑作。大洪水による被害の度に修復されてはいるが、大きな工事は1890年と1975年に行われただけで、中世以来の美しさを保っている。

【編集部注】 旅行者の目をくぎ付けにする東洋の美しい人

◆左) 広場のようなカレル橋、右) カレル橋の大道芸人

スメタナの交響詩「わが祖国」に謳われるヴルタヴァの流れ

◆カレル橋から見るヴルタヴァ(モルダウ)川とプラハ旧市街

◆カレル橋から見るヴルタヴァ(モルダウ)川とプラハ城

◆旧市街橋塔 旧市街橋塔は、橋の旧市街側に取り付けられた門塔。14世紀末に建設された美しいゴシック建築。かつては鉄格子の遮断扉がついており、敵が攻めてきたときには下して町を守る重要な防衛門だった。

◆左)十字架と聖母マリア、聖ヨハネ像(1861年作)、右)橋の上には、間隔を置いて30の聖人像が並んでいる。17世紀から20世紀にかけて次々に取り付けられた。

 カレル橋を渡り旧市街に入ってすぐ、カレル通りに面して左にクレメンティヌムがある。イエズス会の拠点として17世紀に建てられ、オーストリア統治下の女帝マリア=テレジアの時代に図書館、天文台、大学施設などが建てられた。現在は国立図書館になっている。正面に見えるのは聖サルヴァトール教会。

◆写真左)旧市街広場の入り口に立つ旧市街市庁舎、中央正面に見えるのはティーン聖母教会。旧市街市庁舎は、1338年に旧市街の自治オフィスとして創立。塔、出窓の 礼拝堂からなるゴシック様式最古の複合建築で、壁の豊かな装飾は14世紀後半のもの。旧市庁舎の北側部分は第2次世界大戦で焼失したが、時計塔の両側には5つの美しい建物が建ち並ぶ。14世紀に貴族の館を市が買い取り、70mの鐘楼を東側に増築した。

毎時丁度にキリストの12使徒が次々と現れ時を告げる 

◆旧市街市庁舎・天文時計塔

 仕掛け時計(写真上)は世界最古といわれる天文時計。1410年に造られ、1490年に修繕。9.00–23.00の 間の毎時丁度に、仕掛け時計で12人のキリストの使徒が現れる。

 上部の天文時計は、地球を中心に太陽が回る天動説に基づいて造られ、年月日、時間、日の出、日の入り、月の出、月の入りを表現、ほぼオリジナルの形で、600年近い歳月を刻み続けている。下部の暦板は、旧市街の紋章を真ん中にして周りを星座が取り囲み、さらに12の月をボヘミアの農民生活で表した絵が取りまいている。

 4時の仕掛け時計を目当てに人がびっしり集まっている。12人の使徒が窓から正面を向いて一回りする仕掛けをみて、すぐ前にあるボヘミアクリスタルの店へ。クリスタルは買わなかったが、サービスのコーヒーを飲んで、ガイドと別れる。

 旧市庁舎の塔に登る。螺旋階段を覚悟していたがエレベーターがあってホットする。塔の上からの旧市街の眺めは圧巻。橙色や明るい茶色の瓦屋根の家々が建ち並ぶ様は素晴らしい。

◆旧市街市庁舎塔上からの眺め

旧市街市庁舎塔上からの旧市街の眺め:スライドショー(横6枚、縦1枚)

 商店街を歩いて、露店通りへ。ギフトショップはどこも店に入るとすぐに店員が、「コンニチワ~」と声をかけて近寄って来る。ゆっくり見たいのに…。果物、野菜、民芸品が並ぶ露店が軒を連ねている。歩き疲れてクリスタルの店に戻る。ソファーに座り、サービスのファンタオレンジを飲んでひと休み。妻が、クリスタルのネックレスを買う。街に出て、民芸品店で気に入った物を見つけて購入。

 ティーン聖母教会は、聖ヴィート大聖堂と並んで最も重要な教会のひとつで、広場より少し奥まって聳えている。1365年にゴシック様式で建てられ、フス派の拠点だった教会。多くの小塔をあしらった80mの双塔の間にマリア像が掲げられている。「ティーン(税関)の前の聖母マリア教会」というのが正式名称。

◆ティーン聖母教会前の広場で

◆ティーン聖母教会の二つの鐘楼はおよそ80m。右側の少し太い塔が「アダム」、左側の少し細い塔が「イヴ」と呼ばれている。

幾度の戦禍を耐えぬいた「千塔の都」 

 プラハは「千塔の都」と称されるほど多くの塔があり、さまざまな建築様式の建物がある。聖ミクラ―シュ教会は、12世紀創建の教会。18世紀前半に建て替えられた。ティーン聖母教会は、2つの塔を持つ白亜のバロック様式の教会。

◆左) 聖ミクラ―シュ教会、右) ティーン聖母教会と旧市街広場

◆旧市街の市場

大事件勃発!

 クリスタルの店に、集合時間になっても1人旅の女性が戻らない。ポリスから店にその女性からの伝言電話が入り、遅れて間に合いそうにないのでタクシーで先に夕食のレストランに行くとのこと。

◆左) ボヘミアクリスタルの店、右) 旧市街市庁舎の時計塔

 他のメンバーはカレル橋を渡って、バスで7時半、夕食会場のストラフ修道院へ。ビール醸造会社直営のレストラン。サービスの300ccの黒の地ビールが渇いた喉に美味しい。アルコールがダメな妻は、アップルジュースに替えてもらう。私は60コルナ(400円)でビールを1杯追加。

 スープのあと、ローストチキンとポテトで空腹が満たされる。ドイツではポテトで作るクヌーデルだが、チェコではクネドリオといって小麦で肉料理の付き合わせを作る。

◆左)夕食会場のストラフ修道院、右) 修道院の中のビアホールレストラン

◆夕食

 銀行出身の同席の人との話が弾む。行方不明の女性はとうとう現れず。ホテルにも確認するが戻っていないというので、焦った添乗員は夕食もとらずに捜し回っている。
 9時過ぎホテルへ。9時半頃ひとしきり賑やかな声が聞こえてきた。どうやら無事に戻ったようだ。戻らなかったら、旅はどうなったのだろうなどと余計な心配をさせられた。人騒がせな人である。一日歩き回ってさすがに腰が疲れた。

- ボヘミアの古都プラハ・ベルリンとドナウ旅情(5)に続く - 

 

 

 

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