フィリピンこぼれ話(2)

      2020/02/14

◆圧倒的人気を誇るファーストフードチェーン「ジョリビー」のキャラクター

 今回は、フィリピンの国民的ファーストフードチェーン「ジョリビー」の人気の秘密と、戦後75年を経てもなお、トレジャーハンターたちの心を惑わせ続ける「山下財宝」について書きたいと思います。

[その3]  マクドナルドも敵わない人気ファーストフード店「ジョリビ―」

 日本でも国内のファーストフード店が強いマクドナルドと競っていますが、フィリピンでは大手のジョリビー(Jollibee)1社だけが競い合っています。フィリピンの街には色々のレストランがありますが、日本のファミレス的な店はないので、ファーストフード店のマクドナルドとジョリビーは大変に流行っています。私達も朝食や昼食で何回も利用しました。

◆アラミノスのマクドナルド店とジョリビー店 左側手前がジョリビー、その先にはマクドナルドが軒を並べています。

 ジョリビーは、華僑系フィリピン人トニー・タンが創業したファーストフードチェーン店です。最初はアイスクリーム屋からスタートし、ハンバーガー、フライドチキン、パスタと販売種目を拡大してきました。フィリピン国内の店舗数は約900店舗、マクドナルドが約460店(2015年現在)ですから店舗数は約2倍という圧倒的シェアを誇っています。世界のファーストフード業界を席捲するあのマクドナルドがシェア1位を獲得できていない、数少ない国の一つがフィリピンなのだそうです。

◆ダグパンのジョリビー

◆ジョリビーの店頭風景

 ジョリビーの人気の秘密は、地元の食文化に根差したメニュー展開にあります。フィリピン人好みの甘い味付けや、フライドチキンにご飯を添えたセットメニュー、またスパゲティーとコーラのセットといったフィリピンならではのメリエンダ(おやつ)用メニューも充実しています。

◆ジョリビーのメニュー(一部)

 でも、これら二つの店に行けるお客は、ある程度の収入がある人達だと感じました。余裕がない家庭ではめったに行けません。そんな家庭の子供達にとっては、この二つの店で食べられることは憧れなのです。そして、こうしたファーストフードにさえ行けない人達がいるのは、ジョリビーを経営している会社も含めた財閥と言われる富裕層が、あまりにも多くの土地や富を独占しているからだ、と私は思っています。

[その4] ウソかマコトか?――「山下の財宝」 

 寿禄会の友人から、「世界丸見え!ウソかマコトか?」というTV番組で「山下の財宝」を見た、との便りを貰いました。100兆円などとも言っていたそうです。実は、私もフィリピンでその話を何度も聞いた事があるのです。

◆米軍主力が上陸したリンガエン海岸

◆バギオの景勝地から北方を望む。 日本軍はバギオから北方に後退しました。

 「山下財宝」とは、日本陸軍第14方面軍司令官、山下奉文陸軍大将率いる日本軍によって、終戦時にフィリピンに埋められたとされる莫大な埋蔵金伝説です。山下奉文大将は、太平洋開戦直後、マレー・シンガポールを短時日で攻略してパーシバル司令官を降伏させ、「マレーの虎」との勇名をほしいままにしましたが、敗戦後に戦犯として死刑に処せられました。

◆山下奉文陸軍大将

 10年前初めてフィリピンに滞在した時もこの財宝捜しの話を聞き、今回再訪した時も聞きました。殆どは日本人からです。あちらの人達は殆ど口にしません。下手に話せば何か危いと思っている様にも感じました。聞けば噂話はしてくれました。

 10年前に聞いた話では、スワル付近では日本軍が埋めた財宝を捜して、多くの人達が山などをあちこち掘りまくったというのです。まだ生きている人も居て、尋ねてみる事も出来るような感じでしたが、半信半疑にもなれず聞き流しただけでした。

◆スワル市庁舎

◆スワル付近の山

 今年再訪してアラミノスに滞在した時も、日本人から新しい話を聞きました。1つはある日本人男性の事です。随分昔に全財産を持ってフィリピンに来て、スワル辺りで財宝捜しに打ち込んだそうですが、成果もなく金も使い果たしてしまいました。動くのもままならぬ老人となって、スワルの山奥の方でフィリピン人に世話になっている、と言うのです。

 もう1つの話は、スワル市長の身内か何かの有力者が、密かに重機を使って掘り起こして分からぬように埋めた、と言うのです。秘密は隠し言わないと言う訳です。これらの話には埋蔵した地図の話が付いています。本物の写しだとか又は高額で手に入れたなどと言うのです。

 財宝の出所として、占領地から日本へ運ぶ途中だったと言う説や軍のために日本本土から運ばれたと言う説があるようです。場所もスワル辺りだけでなく、前述の番組ではアラミノスやバギオ辺りの事も触れたそうです。これは有名な話である事は間違いありません。政府もトラブルや事件を防ぐ対策をするなど、かなり信じられていることは否定出来ません。フィリピンの人達には失礼ですが、とてもとても面白い話なのです。

 

 

 

 - コラムの広場