ドクター順子の人生処方箋

      2016/12/30

森 順子

よつば

日めくりアンチエイジング――健康・長生きのために

「ドクター順子の人生処方箋」というタイトルで、最先端のアンチエイジング情報を中心に連載コラムを書いて欲しいと言う依頼に「ビックリ・ポン!」です。ザクロや性に関する一般書を数冊、出版してはいますが、まさか下半身の話ばかりする訳にはいかず、また、薬学博士なので臨床医学的な話はできないし、などなどで、戸惑いと思案の数日でした。全体構想はまだまだ不完全ですが、まあ、とりあえずは、とパソコンに向かっています。
「アンチエイジング」、直訳すれば「加齢・老齢化・老化に逆らうこと」となるのですが、でもこの世に生を受けて死にいたるまで、肉体的にも精神的にも生理学的な加齢変化は当然起こるもので、身体を構成している細胞は減ってくるし、臓器の働きや感覚器官もヘタッてヨレヨレになってくるのは避けられない事です。この生理現象に逆らうなんて到底できることではありません。

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訓練次第でキープできるニューロンの働き

シニアパソコン2"寿禄会の皆さまはほとんどの方が古希の70歳、まさに高齢期です。では、70歳の生理機能はどうなっているのでしょう? 脳の神経細胞(ニューロン)を例にとってみると、30歳でのニューロン数を100%とした場合、60-70%程度に減っています。ニューロンネットワークが網目の目が大きくなるのと同じように隙間が多くできることになり、コミュニケーションがユルユルになってきて脳全体の働きが保たれなくなります。ただ、神経を伝わる速度はまだ80%程度が残っているようですので、訓練次第ではなんとかなるかもしれませんし、残存しているニューロンをうまく使う手もありそうです。脳機能だけではなく、心機能、呼吸機能、腎機能などの内臓の働きがニューロン以上に衰えているのは事実です。
でも、一言に加齢といってももちろん個人差があり、特に高齢者においては個人差が大きいとされています。そして加齢に伴う生理機能の変化は直線的に下降していくのではなく、段階的に、しかもある時点で急激に低下することが分かっています。すなわち、加齢の速度は一定ではないということです。だとすれば、この速度を遅くすることがアンチエイジングに繋がるということです。

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目指したいサクセスフル・エイジング

はしる人ではどうやって遅くするか? すぐにでも取り入れられるのは食生活や運動、睡眠といった日常生活習慣であることはお分かりですよね。加えて精神面での若さを維持できればいうことありません。

「アンチエイジング」は加齢に逆らうのではなく、年齢なりの加齢現象をそのまま受け入れ、老化の過程を緩やかにするということでしょうか。加速度は論外です。その意味ではサクセスフルエイジング、ヘルシーエイジング、アクテイブエイジングと言う言葉が最近使われているようです。われわれもアクテイブシニアとして70歳を満喫したいものです。
ということで、「何だ、当たり前のことだろう」と言われるかもしれませんが、第1回目は総論ということでこの程度にし、次回からは加齢速度を緩めるにはどうしたらいいか、など話を進めていきたいと思います。

おかもとビール

実はこの私、今のところ、老眼鏡も必要なし、聴覚も正常、内臓機能も異常なしということで、周りからはバケモノと言われ、でも50歳代にしか見えないよ、とも言われればルンルン気分です。その秘訣(?)を今後紹介できるかもしれません!!

2014年に訪れたミュンヘンのビアホールにて

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