ドクター順子の人生処方箋 Vol.7 毎日のウォーキングで脚力アップ!

      2018/07/18

 

よつば2 久しぶりにアンチエイジングの話です。

 

 春休みを利用して3月下旬にギリシャ旅行をしてきました。ツアーへの一人参加、1年半ぶりの海外旅行、体力的に大丈夫かと不安もありましたが、終わってみれば、何と楽しかったことか! 体調良好、食欲旺盛、ビール・ワインの美味しい事、時差にもすぐ慣れ、古代遺跡めぐりも‘スイスイ’と‘コケ’ることもなく歩き回ることができ、まだまだいけると自信もつきました。

 ということで、今回は日頃から、アンチエイジングとして、体力を付けるための基本的な身体活動、「歩行能力」を高める話をしたいと思います。

 

よつば2 最近、ゼーゼ—ハァハァしていませんか?.

 

 「老化は脚から」と言われるように、高齢者では特に下肢の大腿四頭筋(太腿の前側の筋肉)の重量が体重1kgあたりの平均で、20歳代では25g、70歳代では15gと、加齢とともに委縮して機能が低下し、これが10g以下になるともう寝たきりにならざるを得なくなります。

 脚の筋肉量が減少すると自分の身体を支えることができなくなり、ふらつきやすくなったり、敷居やカーペットにつまずいたり、僅か数ミリの高さに対応できなくなって、つんのめったり転倒したりします。さらには杖や歩行器、車椅子に頼ることにもなり、最悪の場合は転倒が原因で寝たきりになるかもしれません。

 また、大腿筋だけではなく、上半身と下半身を繋いでいる大腰筋、脚を引き上げる働きもある筋肉ですが、70歳代では20歳代の半分の筋肉量まで減少しますので高齢者ではより転倒しやすくなる原因となっています。

 では、転倒を予防し、寝たきり生活を阻止するためには何が必要か? それには日頃の習慣として脚をしっかりあげて歩行すること! それによって大腿筋だけではなく大腰筋も鍛えることになります。日常的な脚力維持が非常に大事なのです。

 

よつば2 1日男性6700歩、女性5900歩を目指して!

 

 老化は脚から」と言われるように、高齢者では特に下肢の大腿四頭筋(太腿の前側の筋肉)の重量が体重1kgあたりの平均で、20歳代では25g、70歳代では15gと、加齢とともに委縮して機能が低下し、これが10g以下になるともう寝たきりにならざるを得なくなります。

 

 脚をしっかり鍛えることが大事だといっても、必ずしも、「ジムでトレーニングマシーンを使って鍛えないと!」とか、「毎日散歩しないといけない!」といった強迫的観念を持つ必要はありませんし、しゃかりきになって歩き廻って歩数をアップする必要も決してありません。日常生活における家事や買い物などの外出行動の歩きを見直せばいいことです。エレベータやエスカレータを使うのは論外、ダラダラ歩くことを止める、常にウオーキング!ということを意識しながら、日常的に歩く歩数を高めればいいわけです。歩く速度を普段よりも少し早めて歩くことを意識すれば非常に効果的なものになります。簡単なこと、今すぐにでも実行できることですね!

 

よつば2 金毘羅宮の石段1368段もスイスイ♪

 

 ‘脚を動かす‘ということは実は血液循環にも大いに役立っています。二本足で直立する人間では、心臓から全身へ出ていく血液は重力のままに下半身の方に流れて溜まりやすくなりますが、静脈血が心臓に戻るには脚の静脈にある‘静脈ポンプ’の働きが必要なのです。この静脈ポンプ、脚を動かせば動かすほど良く働いてくれ、心臓への血液還流を促進してくれるので、結果として脚が鬱血することもなく、むくみが起こることもなく、疲れも少なくなるわけです。「脚を動かして脚力を高める」、ひいては、これが血液循環の促進にも繋がり、ADL(日常生活動作)やQOL(生活水準)の低下予防に繋がることは当然推測できることですね。

 健康つくり、体力つくりには運動やトレーニングと言われても高齢者には結構負担になるものです。私も定年後に福岡に戻ってきてすぐにスポーツジムに通いました。初めてのジム通い、1日おきにマシンを使って歩行、ストレッチ、筋トレなど、‘やらなきゃ’と必至?でやった挙句が、健康診断では「心肥大」、私が? まさか! とびっくりでした。精密検査では結局異常はなかったのですが、ジムは1年も続かずに止めてしまい、その後の健康診断では問題なしです。元々、現役時代は運動など全く縁がなかった身体、急激な運動負荷アップに身体が対応できずに心臓もアップアップだったのかもしれません。個人の体力・筋力・持久力・精神力などの能力は人それぞれ、個人にあった適度な運動が必要ということでしょう。その点では日常的なウオーキング、全く問題はなく、高齢者にふさわしい基礎的運動といえます。

 

よつば2 「医学の父」ヒポクラテスの教えは、さすがに深い!

 

 「医学の父」、「医聖」、「疫学の祖」といわれる古代ギリシャの医者、ヒポクラテス(BC 3-4C)によれば、老化予防の方法として「何事も中庸を保つこと、老人はできるだけ慣れた日常の仕事を続けるべきで、仕事の習慣を急に変えてはならない」と言っています。その意味でも日常的なウオーキングは身体への負担も少なく、規則的なルーチンワーク、日常生活のなかに取り入れ、習慣として実行していきたいものです。

 

 

  ここがポイント!
理想的なウォーキングのコツ

 

 「最後に、理想的なウオーキングを紹介します。

1.肩の力を抜いてリラックスする。手は歩く速度に応じて自然に振る。
2.身体はごく自然にまっすぐ伸ばす。これが効率の良い歩行を生む。
3.踵から着地し、つま先で蹴りだす。この足運びが全身運動のゆえんとなる。
4.歩幅は大きめにとりながら、膝をしっかり伸ばして歩く。

(ウィズエイジングの健康科学、「昭和堂」より抜粋)

 

 

 

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