これなんやろか 第4回 超ミニサイズの花(その2)

      2022/12/30

正解は コミカンソウ でした

 小田 紘

 目をこらして小さな花ばかり探してみました。

 極微小の花が気になり始めて,そのつもりで探してみると意外にもたくさんの花が見つかりました。これまで気づかずに見過ごしてきたのが不思議なほどです。9月~10月はこのような花が特に多いのかも知れません。
 小さな花をしゃがみ込んで撮っていると,スムーズに立ち上がれなくなっている自分に気づいて身体能力の衰えを痛感してしまいます。

 

 
 下3枚 /撮影:2022年9月

 道ばたの草むらに小さな果実がたくさん付いた植物がありました。草丈は10 cm くらいです。撮ってきた写真を見ていると,なんと極微小の花らしいものが写っていることに気づきました。果実の直径は約 3 mmで,花は 1 mm くらいです。花には雄花と雌花があることも分かりました。この花には花びら(花弁)は無く,花びらのように見えるのは萼(がく)だそうです。

 
 下1枚 /撮影:2022年10月

 3週間後,葉っぱが色づき始め,果実は熟して赤味が強くなっていました。

 

 
 下4枚 /撮影:2022年9月

 コミカンソウの近くにちょっと似た植物がありました。しかし果実の状態が全く違っています。表面が平滑で直径2mmくらいの果実が長い柄でぶらさがっています。そして,写真を拡大してみて初めて分かったのですが,これにも極微小の花が付いていました。花径は0.8~1.5 mm で,やはり雄花と雌花の2種類があります。

 

 
 下3枚 /撮影:2022年9月

 この写真を見たとき,たいていの人は「これは萩の花だ」と思うでしょう。確かに写真からはそう見えますが,実物は草丈が10~20 cmで,花径は 2 mm くらいのとても小さな花です。地面を這うように広がっています。このように,萩にそっくりの小さな花をつける植物が意外に多く存在していることを知りました。「◯◯ハギ」という名のものが多い一方,この植物のように「ハギ」という名の付かないものもあります。

 
 下1枚 /撮影:2022年9月

 葉っぱの一端を引きちぎると矢羽根の後端部,弓の弦にかける部分(矢筈,やはず)の形になることが名前の由来です。

 

 
 下3枚 /撮影:2022年10月

 これも,小さな花を積極的に探していて初めて存在に気づきました。靴のつま先と比較すると大きさ(というか小ささ)がよく分かります(矢印)。アップしてみると,青紫色で独特の形をしたとてもきれいな花です。

 
 下1枚 /撮影:2022年10月

 はじめは「アゼナ(畦菜)」と誤認していました。しかし,これは「ウリクサ(瓜草)」であることが判明。決め手は葉っぱの周囲(葉縁)のギザギザ(鋸歯縁)と,長楕円形の蒴果(さくか,果実の一種)の特徴です。この蒴果の形がマクワウリに似ていることが「ウリクサ」という名前の由来だそうです。こんなに小さなものからマクワウリを連想する,その発想力に脱帽です。写真で拡大してみると,なるほど確かに・・・。中にはたくさんの種子が詰まっていました

 今回取り上げた花は虫メガネで見ないと気づかないほど小さなものばかりですが,どれもよく観察され詳細な記述がなされていることに驚きます。細かいことが気になるひとが結構たくさんいるものだと思いました。だがちょっと待てよ,電子顕微鏡を使って千分の1ミリの細菌や10万分の1ミリのウイルスを相手に仕事をしてきた自分も同じ穴のムジナ? ひとのことは言えないか。

 

 

 

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