これなんやろか 第7回 ユニークな樹木

      2023/07/29

正解は、ブラシの木でした。

 小田 紘

今回は変わった特徴をもつ樹木の話が2題です。

 

 撮影:2009年~2020年・5月

ブラシの木 ①

 この花を初めて見たとき、まるでビンを洗う「ブラシ」のようだと思いました。調べてみると「ブラシの木」という名前でした。まんまです。英語でもボトルブラシというそうです。この木はオーストラリア原産だそうですが、大変かわった特徴を持っています。
 まず、花の形がユニークすぎます。

ブラシの木 ②

 ブラシの軸に相当する枝にビッシリとまとわりついたつぼみから、中に収納されていたかのような花糸が伸び出して次第にブラシを形成していきます。

ブラシの木 ③

 ブラシの毛に相当するものは雄しべで、先端に黄色い花粉を蓄えた葯があります。雄しべの根本に小さな花びらと萼がありますがあまり目立ちません。

ブラシの木 ④

 さらに変わっているのは、ブラシ状の花の先端から新しい枝が前方へ伸びていくことです。つまり、ブラシの軸が伸びていくという感じです。

ブラシの木 ⑤

 そして花のあとには、枝にまとわりつく形で固い殻に包まれた果実(種子)が残ります。この殻はたいへん頑丈で、原産国オーストラリアでは森林火災のときにはじけて種子がばらまかれるとのことです。なんともワイルド。

 

 撮影:2016年~2019年・9月~10月

ヌマスギ ①

 池の水ぎわに変なものがニョキニョキ。これなんやろか?

ヌマスギ ②

 正解はヌマスギの「呼吸根」でした。「気根」ともいいます。初めて見たときは、ひしめき合っている羅漢像を連想しました。

ヌマスギ ③

 以前、北薩の山あいに藺牟田池という周囲4kmの大きな池(火山湖)があることを紹介しました(コラムの広場 2016年6月/カメラとともに第1回)。ここはラムサール条約指定湿地に登録されており、様々な動植物が生息しています。堆積した泥炭で形成された浮島もあり国の天然記念物に指定されています。
 この池の岸辺近くに、根本が水につかった状態で大きな木がはえています。これがヌマスギ(沼杉)です。一見、メタセコイアと似ていますが別物です。

ヌマスギ ④

ヌマスギ ⑤

 ヌマスギは水中に根があるので、酸素不足を補うため近くの地上に根の一部をニョキニョキと出しているというわけです。これが呼吸根の正体です。
 水中に立つ大樹の幹と、地上に顔を出している呼吸根が対話しているような感じです。

ヌマスギ ⑥

 秋にはたくさんの果実をつけていました。

 

 

 

 - コラムの広場