隠れキリシタンと南蛮貿易の島 平戸から九十九島へ

      2018/12/08

◆平戸オランダ商館

 

誘われて九州最西端の島「平戸」へ

 おふくろが亡くなってから福岡に帰ることも少なくなり、日頃ご無沙汰をしている福岡在住の友人夫妻と、寿禄会総会への出席を機会に、ゆっくりと旅行に行こうという話になり、初めての「平戸島」と「九十九島」に行くこととなった。

 友人の奥様がいろいろと調べ、詳細なプランを立てて下さったが、福岡から平戸へ最安値で行けるのは、「福岡-佐世保の高速バス」と「佐世保-平戸の路線バス」を利用するお得なバス旅行「福岡平戸切符」(往復:5,700円/名)とのことで、これを利用することになった。

 天神バスターミナル朝9時発の高速バスに乗って佐世保駅前バスターミナルに11時4分着、11時40分発の路線バスに乗り換え、終点「平戸桟橋」に13時12分に着いたが、乗ってすぐは昔話に花を咲かせたが、さすがに延べ4時間もの長時間のバス旅で疲れ果てて、最後はウトウトとしてしまった。

◆「福岡平戸切符」パンフ(表と裏)

◆平戸桟橋

◆平戸市街地マップ

 

西洋と東洋が混在する不思議の島

 着いてすぐに「平戸桟橋」の「観光案内所」で観光方法を相談した。予定では、「福岡平戸切符」でレンタル料が半額になるレンタサイクルを借用して市内観光をする予定であったが、結構急な坂が多いので、年齢的に足が弱っている人にはしんどいのでは?とのことで、タクシー(1時間4,500円)を借り切って、「平戸市街地マップ」に記載の場所を案内して貰い、最後に宿泊先の「平戸海上ホテル」に送って貰うこととなった。

 まず最初に訪れたのは「松浦史料博物館」。ここは平戸藩6万石余りを治めた松浦家の藩主3代の居城跡であり、対外貿易やキリスト教に関係する資料や貴重な古文書類、大名の甲冑や婚礼調度品など多数が展示されており、平戸が古くから地理的に異国との窓口として重要な役割を果たしていたことを窺い知ることができた。

◆松浦史料博物館の展示物例

 次に、東洋と西洋文化が混在して調和している平戸を代表する風景「寺院と教会の見える風景」が撮影できる場所に案内して貰って、その特徴的な景観をパチリ。さらに、平戸のシンボル的な「聖フランシスコ・ザビエル記念教会」を参観したが、丁度ミサ中で内部に入ることはできず、外観だけを写真に収めた。

 さらに、タクシーの車窓から、多くの中国商人が定住していたことを示す16世紀中国の明時代のスタイルの「六角井戸」や、かつて平戸で一番栄えていたという浦の町で南蛮貿易時代から平戸を見続けている樹齢400年の「大蘇鉄」を眺め、更に、オランダ技法を伝授された石工によって架橋されたと言われている「幸橋(オランダ橋)」などを見学して廻った。

◆ザビエル教会

◆六角井戸

◆大蘇鉄

◆幸橋(オランダ橋)

 ついで、長崎の出島にオランダ商館が移るまで、東インド会社が東アジアでの貿易拠点としていた、平戸オランダ商館を訪れた。
 ここにはザビエルの肖像画などの絵画、徳川家康の御朱印状などの書類、インド地図などの絵図、航海用具、食器などの日用品、南蛮漆器などの貿易関係品など、昔のオランダ商館の活動の多彩さを示す資料が展示されており、過去の平戸の栄光を思い起こすのに十分な品々が展示されていた。

 途中で、なぜかフェルメールの肖像画に似せて、斜め上から照明を当てて額縁におさめた状態で記念写真を撮るコーナーが有ったが、フェルメールのモデルとの差異は如何ともしがたく、フェルメールの作品にはほど遠い出来栄えの写真が撮れた。

◆ザビエル肖像画等

◆徳川家康の御朱印状

◆フェルメール風?

 

海に漂う浮遊感が愉しいオーシャンビューの部屋

 その後、宿泊先の「平戸海上ホテル」まで送り届けて貰ったが、部屋からの眺めは、海に漂うかのような浮遊感漂うオーシャンビューの部屋であり、穏やか波のなんとも形容しがたいほど美しい平戸湾を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごすことができた。

 夕食は、バンケットホール「アゼリア」で、「季節の会席」として、地魚五種盛、県産和牛のステーキ陶板、鯛の兜煮など、「じげもん」(=地元のもの)の新鮮な海産物中心の美味しい会席料理に舌鼓を打ち、もうこれ以上はダメというほど腹いっぱいになった。

 食事の途中に、仲居さんの手違いで、盛りつけ途中?の茶碗蒸しが配られ、他の方はすぐに回収されたのに、小生だけがすぐに手を付けてしまったので回収することもできず、「こらこら!」「自分だけ!」と3人で爆笑のハプニングもあった。

◆上段:あたかも海に漂うかのような部屋からの波穏やかな美しい平戸湾の眺望
◆下段:左:平戸海上ホテルの外観、中:夕食の季節の会席料理、右:海望露天風呂

 

旅情をかき立てる「平戸、海のものがたり」

 夕食後は、タイミングよく開催されていた、平戸城再築城300周年記念:光と音が織りなす幻想祭「平戸、海のものがたり」を見学するために、無料シャトルバスで、ホテルから平戸城まで移動。

 「平戸、海のものがたり」では、平戸城本丸の外壁に映し出される、平戸の300年の歴史や美しい風景を一つの物語にしたプロジェクションマッピングをメインに、平戸城周辺での、平戸の歴史の紹介(デジタル歴史絵巻)、参道のライトアップ(光の参道)、「シルク・ドゥ・ソレイユ」にも出演する世界的パフォーマーによる松浦水軍をイメージしたショーなどを堪能することができた。

 ショーを見学するベンチが少なく、奥さんだけ座ってもらい、男二人は立ち見を覚悟していたら、地元の小学生の姉妹が席を詰めて開けてくれた。今回の旅で感じたことだが、どこに行っても九州の人は優しかったなぁ~~!

 なお、参考動画として、KTNテレビ長崎制作の「YouTube」を紹介しておく。「平戸、海のものがたり YouTube」の水色ボタンをクリックすると動画を見ることができる。

◆上段:「平戸、海のものがたり」【スライドショー】
◆下段:左:平戸のデジタル歴史絵巻、中:光の参道、右:神楽殿のライトアップ、ボタン:YouTube

 

潮騒の海望露天風呂でほっこり

 平戸城からシャトルバスで戻り、楽しみにしていた温泉に入った。平戸海上ホテルの温泉は、神経痛や筋肉痛、疲労回復などの効能がある平戸温泉(炭酸水素塩泉)を使用しているとのことで、鯛や海亀を眺めながら入浴することができる「水族館大浴場:竜宮」、まるで海に浮かんでいるような気分に浸れる開放的な「海望露天風呂」、貸切で利用できる「個室貸切展望風呂」など種々のお風呂が用意されていたが、今回は「海望露天風呂」を利用し、潮騒を聴きながら、ゆったりとしたお風呂を楽しんだ。その夜は、旅の疲れからかぐっすりと眠ることができた。

 

美しい200余の島影に癒される「九十九島クルーズ」

 翌朝の朝食は、「じげもん」たっぷりのバイキング!で、平戸名物のしっかりとした旨みたっぷりのあご(トビウオ)出汁のお味噌汁や種々の魚や野菜やフルーツなどを、腹一杯ゆっくりと堪能した。

 その後、次の目的地佐世保の九十九島へ行くべく、ホテルの送迎バスで平戸桟橋に戻り、昨日来た路線バスに揺られて、佐世保駅前バスターミナルに戻り、市営バスで、九十九島遊覧船が出発する「九十九島パールシーリゾート」に行き、「海賊遊覧船みらい」に乗って、九十九島遊覧を楽しんだ。

◆九十九島の案内板

◆九十九島ガイドマップ

◆九十九島海賊遊覧船「みらい」

◆美しい200余の島影の「九十九島クルーズ」【スライドショー】

 

海底のファンタジア――九十九島水族館「海きらら」

 遊覧船を降りて、昼食を摂り、時間があったので、隣にある九十九島水族館「海きらら」を見学した。
 「九十九島のイルカ」コーナーでは、バンドウイルカの赤ちゃんが、9月27日に生まれたばかりとのことで、イルカの親子が連れ立って泳いでいるところを見ることができた。そのため日頃は公開されているイルカのプログラムを見ることはできなかったが、屋上で他のイルカがトレーニングしている風景は見学することができた。
 また、「九十九島湾大水槽」では、九十九島湾で観察できる多種多様の魚を見て、特に一方向に群れ泳ぐたくさんのイワシ?たちにはいつもながら感心させられた。さらに「九十九島のクラゲ」では、大きさが数ミリ程度の小型クラゲなどが、優雅に泳ぐ姿を見ることができた。

◆九十九島水族館「海きらら」の外観

◆バンドウイルカの親子

◆イルカの調教

◆大水槽の魚たち

◆大水槽のイワシの群れ

◆九十九島のクラゲ

◆九十九島のクラゲ

 市営バスに乗って佐世保駅前のバスターミナルに戻り、高速バスに2時間揺られて福岡空港まで戻り、友人夫妻に見送られて、最終便で大阪空港に戻った。

 

 

 

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