王子グループ回顧録 王子木材工業㈱苫小牧支店編[2]

      2019/02/10

◆苫小牧/ウトナイ湖

 

住宅着工数減などきびしい環境の中で

 2001年6月末の役員会で、王子製紙㈱の取締役を退任して新社長が就任、苫小牧支店長も東京本店へ栄転、私が支店長に就任することが決まった。

 この頃の日本経済の状況は、好調だった米国経済が、同時多発テロを機に大幅に減速し、その影響から我が国の企業収益は大幅に悪化し、親会社である王子製紙も2002年3月期には、売上高は対前期減少、最終純損益で赤字となった。親会社がめったにない赤字決算であったが、当社を取り巻く環境も、住宅着工戸数は減少し、住宅用資材は需要の縮小が一段と見込まれた。そのほか、安くて、品質が安定した輸入製材品指向と同時に、国内木材加工産業の空洞化も進み、先行きは厳しい状況で推移した。

 

新規事業への取り組み

 この状況下、新社長は何とか当社が安定的に収益を確保できる体質にしなければならないと考え、特に新規事業に取り組む事の重要性を、各支店にPRして、月1回開催される東京本店での役員会を3か月に1回くらいは、各支店で開催し、今後の支店経営の在り方を重点的に議論する機会を作ることを提案され、第1回の「現地役員会」を苫小牧支店で開催することになった。

 ここで各支店を列記すると、北から北海道、新潟、東京、名古屋、大阪、徳島の6支店であり、ちなみに福岡は大阪支店の営業所と言う位置づけにあった。この中で事業の売上高、粗利益等全社の33%を北海道支店が占め、支店中のトップであった。この理由は北海道での王子と言えば業界では抜群のネームバリユーをもっており、取引先の55%を安定的な王子製紙が占めていたからである。

 11月下旬、社長以下全役員、北海道支店では部長以上が出席して、「現地役員会」が開催され、私が作成したパワーポイントを使って「北海道支店の現状と課題」について説明した。この中で新規事業として報告した重点項目が2つある。その1つは、支店の協力会社である輸送業者に当社が出資して、会社の名称も王木輸送㈱とし、当社から役員、社員を派遣して、支店にあった「物流情報センター」を新会社に移管して全道のチップ輸送業者の情報を把握し、トラックの稼働率を向上させコストダウンに結びつけた。

 もう1つは、本州のキノコ生産販売会社が、菌床栽培用の細かく砕いたチップ(通称ざらめチップ)をしらかばの原木で作って納入して欲しいとの要望があった。

 しらかば原木はアイスクリームのへらとして利用され国産材は資源的に少なかったので、ロシアから輸入して、ざらめチップを納入したところ、好評で、しかも粗利益も高く貴重な収益源となった。その後この会社が九州にも進出、ざらめチップの納入をお願いされたため、宮崎県日向市の当社チップ工場に北海道から、しらかば原木を移出して安定供給に努めた。

◆森と泉に囲まれたニドムクラシックコース

 

二度目のホールインワンに歓喜

 少しゴルフの話をしよう。釧路から苫小牧に赴任した夏の頃、王子木材の仲間と2組ぐらいで、三井観光ゴルフ倶楽部、南コースでプレイしていた。我が組は2組目で、ショートホールでアイアンを無造作に打った時、前の組からすごい歓声が聞こえてきた。これは2回目のホールインワンだった。

 1回目は米子工場勤務の時、広島県三次市の富士三次カントリークラブから丁度10年目の快挙だった。この頃は、暫くの間ショートホールは面白いようにワンオンしていたが今は見る影もない。1回目のゴルファー保険は30万円、2回目は40万円を請求し振り込まれた。その後50万円の保険に毎年加入しているがその気配もない。

 

ゴルフのあらゆる醍醐味が味わえる北の大地

 北海道でのゴルフシーズンは、4月の中旬から11月中旬までで8か月間でサラリーマンは主に土日プレイで年間40回前後だったと思う。苫小牧近郊には沢山のゴルフ場があったが、その中でも景色が美しいゴルフ場は、苫小牧市植苗にあるニドムクラシックで特に新緑と紅葉の頃の景色が素晴らしい。ちなみにサラリーマン時代のベストグロスは82、オフシャルハンディキャップの最高は18だった。

◆紅葉のニドムクラシック

 

”優良取引先“の倒産にショック!

 閑話休題、前にも書いたように、国内の木材会社は厳しい状況にあり、当社の本店審査部では、取引先の与信枠の設定、倒産用の保険等の対策を講じていたが、全社で年に数件の被害が発生していた。北海道支店では、それらの情報や噂をいち早く聞きつけて、当座の資金繰りを助けるための、在庫の買い上げ、所有財産(主に山林)の買い上げ等により資金補填をしたり、経営状況から要員の削減をアドバイスしたりして、特に大きな損害がなかったが、ある日突然、ノーマークのS産業が不渡りを出して倒産した。私が新入社員で名寄に勤務中からお世話になり、30年以上に渡って王子製紙、王子木材との取引があり優良企業と確信していたのに、本当に残念な事件だった。

 2002年6月28日取締役会で、東京本店 取締役営業企画部 管掌の委嘱状を貰った。

 

 

 

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