東寺 講堂・立体曼荼羅

      2018/12/08

 

 

 koya tanaka 田中 功也

 

◆講堂

◆金堂

◆金堂

◆金堂

◆講堂

◆五重塔

◆五重塔

◆五重塔初層内部・北西より

◆国立博物館・平成館で開かれる「特別展・東寺」のパンフレット

◆講堂内の立体曼荼羅

◆立体曼荼羅内の
国宝帝釈天騎象像

◆立体曼荼羅内の
国宝梵天像

◆観智院庭園

◆観智院 五大虚空蔵菩薩像

◆観智院の書院

 

 

 

 

 季節が1ヶ月遡ったような暑さの11月6日、京都の東寺では秋の「京都非公開文化財特別公開」が行われていた。東寺は平安京建設時(延暦15年・796年)に建てられた官寺で、後に弘法大師に下賜され、以後真言密教の根本道場として信仰を集めてきた。

 講堂の白亜の檀上に大日如来を中心とした五智如来をはじめ、五菩薩、五大明王、四天王、梵天、帝釈天の21躯の仏像が安置されている。弘法大師の密教の教えを表現する立体曼荼羅(密教浄土の世界)である。中でも平安時代の前期の15躯は我が国密教彫刻の代表作で国宝となっている。如来像5躯を中心に据え、向かって右側に菩薩像、左側に明王像がそれぞれ5躯ずつあり、周囲に四天王などが配置されている。空海が配置を考えたとされている。期間中は、通常入ることができない須弥檀北部が公開されぐるりと周回しながら立体曼荼羅の世界を堪能でき、4つの顔を持つ隆三世明王立像の後ろ側の顔が見られる。来年3月26日から6月2日まで東京国立博物館・平成館の「特別展・東寺」で空海と立体曼荼羅の世界を楽しむことができる。関東地区の寿禄会の人たちにお勧めしたい。

 国宝・金堂は東寺の本堂で慶長8年(1603)に再興された。天竺の構造法を用いた豪放雄大な気風のみなぎる桃山時代の代表的な建築。本尊は薬師如来座像と日光、月光の両脇侍菩薩像。薬師如来の台座の周囲に十二神将像が配されている。

 五重塔は、東寺の象徴として広く親しまれており、新幹線京都駅の南側近くにあるので目にする機会は多い。弘法大師の創建着手に始まるが、焼失が4度におよび現在の塔は正保元年(1644)に竣工。総高55mは、現存する日本の古塔中最高の高さ。全体の形もよく、細部の組み物の手法は純和様を守っている。特別公開されている初層内部は、心柱を大日如来に見立てている。折り上げ小組格天井は重厚。彩色も落ち着いており、江戸時代前期の秀作。

 大師堂(西院御影堂・国宝)は修理中のため拝観できない。
別格本山の観智院は、東寺一山の学院で、所蔵する密教聖教の量と質では我が国最高といわれる。客殿(国宝)、涅槃禄(長者の庭)、宮本武蔵筆の「鷲の図」「竹林の図」がある。本尊は「五大虚空蔵菩薩」。唐の長安の青龍寺金堂の本尊であったという。その面貌、姿態のすらりとした特徴は宋代彫刻にみられる傾向で、晩唐期の彫刻様式を偲ばせるものがある。

 東寺の建物内はいずれも撮影禁止で残念だった。広大な境内を巡り、紅葉の始まった庭園を散策していると汗がにじんできた。

 

 

 

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