晩秋の大和路を巡る
2019/01/19
晩秋の一日、妻と二人紅葉を求めて大和路を巡るバスツァーに参加。2社2寺に詣でる。
中大兄皇子と中臣鎌足の大化の改新談合の地として知られる「談山神社(たんざんじんじゃ)」と、大和国一の宮「大神神社(おおみわじんじゃ)(三輪明神)」、そして名刹「長谷寺」、「室生寺」である。バスは大和三山を左右に見て進む。
師走に入ろうかというのに季節外れの暖かさ。大事をとって厚着して行ったため石段の上り下りにかなりの汗をかく。相次ぐ台風の襲来で多くの木々が枝を折られ、幹を裂かれ、葉を落として、きれいな紅葉は望めないと半ば諦めていたが、どこも紅葉の見頃。そのスケールと燃えるような紅黄葉の美しさに息を呑み、しばし声もない。
談山神社では、絢爛たる錦絵巻に訪れた人はみな嘆声を発し、紅葉に埋もれる朱塗りの十三重の塔の美しさに夢中でシャッターを押し続ける。威徳明王像を中心とする平安美術の社宝特別公開を楽しむ。
高さ32.2m、柱間23m、日本でも有数の大きな鳥居をくぐり大神神社へ。国のまほろば大和盆地の東南に位置する三輪山は、古来より神の鎮まる山として仰がれている。本殿は設けず拝殿の奥にある三つ鳥居を通してお山を拝するという、原初の神祀りの様が伝えられている我が国最古の神社。
昼食に、名物の三輪そうめんの付いた山の辺会席をとる。にゅう麺の思わぬ美味しさに疲れも忘れ、お土産に求める。
長谷寺は、仁王門のすぐ近くに観光バスの駐車場が設けられ、長い参道を歩いて門前町の風情を楽しむ情緒は失われた。門から続く399段の石段の回廊を登り切って、本堂に達する。小初瀬山中腹の断崖絶壁に舞台造りされた大殿堂。舞台から見下ろす朱に染まる境内、五重塔、本長谷寺、陀羅尼堂、本坊などの眺めは筆舌に尽くし難い。夢の世界。重文の本尊大観音尊像は高さ12mに及ぶ日本最大級の十一面観音菩薩。今、特別拝観が許されている。
最後に訪れた女人高野・室生寺は、国宝の優雅な五重塔で知られ、春の石楠花など四季折々の花の寺でもある。高さ16mの五重塔は平成10年、台風により大きな損傷を蒙ったことは記憶に新しい。金堂内には一木造の本尊・釈迦如来立像(国宝)や華麗な十一面観音菩薩像(国宝)、薬師如来、地蔵菩薩、文殊菩薩、十二神将が並ぶ。この半数は宝物殿に移され、金堂内で拝めるのは来年5月までという。真っ赤な紅葉、オレンジ色に輝く紅葉。室生寺の紅葉も今が盛りであった。