寿禄短歌の会 廣渡清吾(3)

      2024/02/06

 
「まず、まねよ」—— 模倣は独創の母
 

 このように、文芸評論家の小林秀雄(1902-1983)が言ったそうです。そういえば、福高演劇部長で大学でも演劇を続けていた国崎正次郎君が、かれの大のファンでよく話題にしていました。小林氏がいわなくても、これは巷に膾炙した「何かにうまくなる方法」のひとつですよね。

 ということで、ぼくは、とりあえず、俵万智『サラダ記念日』風、でいこうと考えました。この歌集、「『この味がいいね』と君が言ったから7月6日はサラダ記念日」を話題作にして、1987年5月1日に初版刊行、ぼくの手元にあるのは12月5日付ですが、なんと「316版」、12月20日の新聞広告は「200万部突破!」と書いています。

 俵万智風にと考えると気が楽です(御本人には申し訳ない)。話し言葉でそのままに、「君と出会ったころ」を思い出しつつ31文字にしてみました。

 
◎俵万智風に
 

 

 

※蛇足註 「10・21」は、日本の総評が世界によびかけたベトナム反戦国際統一デイ
     「学士堂」は大学至近の喫茶店

 
◎本歌取り
 

 いきなり転じます。藤原定家は本歌取りを好み、また、推奨したそうです。和歌の歴史を継承するという考えだったとか。小倉百人一首の「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身も焦がれつつ」もその一つ。本歌取りも、ちょっとずらしていうと、「まねる」ことかもしれないと強引に解釈して、やってみます(まことに不遜)。ここで、その本歌は、素敵に格好いい、次の現代短歌二首、いずれも「霧」が利いています。

マッチ擦る つかの間海に霧ふかし 身捨つるほどの 祖国はありや(寺山修司)

たちまちに 君の姿を霧とざし 或る楽章をわれは思ひき (近藤芳美)

 

 

どこで本歌取りか、お察しください。正直にいうと言葉あそびに近いですね。

 
◎京都の夏に寄せて
 

 今回の終わりとして、もうちょっとB抜き(AカッコC=えーかっこしい、これもついでに国崎君の常套句借用)にしたいと思い工夫しました。「京都の夏」に寄せて次の二首。

 

 

 

 

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