一の鳥居をくぐり春日大社表参道から少し南へそれた奈良公園に、明治40年創業の料理旅館「江戸三」がひっそりと佇む。草庵風の離れが点在し、その一庵で友人6人と昼の宴を張る。志賀直哉、小林秀雄、藤田嗣二、堂本印象、池波正太郎など多くの文人墨客が訪れた老舗料亭である。
紅葉を愛でながら、りんごの食前酒、穴子の先付、お造り、きりたんぽ鍋、牛のステーキ、さわらの焼き物、ぎんなんのかき揚げ、サンマの酢の物‥‥と、老舗の懐石料理を堪能する。美酒に酔い、美食に舌鼓を打つ。時おり鹿が顔をのぞかせる。まさに至福のひととき‥‥