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北欧のおとぎの国々 バルト3国紀行《リトアニア編》new

   

《リトアニア編》

自由を勝ち取った「人間の鎖」

 北欧の片隅に中世の面影をそのまま残すおとぎのような国々がある。バルト3国である。2017年6月上旬、ポーランドのワルシャワを出発。3国を南からリトアニア、ラトビア、エストニアの順に北に抜け、ロシアのサンクトペテルブルクに至る9日間の旅をした。

 バルト3国は、ヨーロッパの北東部、バルト海の東岸、ロシアの西隣に位置する。一番南のリトアニアがカムチャッカ半島と同じ緯度にあり、日本からの距離は8000キロ。

 3国は面積がそれぞれ北海道の60~80%の小さな国だが、18世紀に帝政ロシアに支配され、第一次世界大戦後に独立。1939年の独ソ不可侵条約の秘密議定書を受け、翌年旧ソ連が併合した。ソ連で改革が進んだ1980年代後半に独立機運が高まり、エストニアからリトアニアまで市民が手をつないで3国を結んだ「人間の鎖」など一連の運動は「歌う革命」と呼ばれた。

 ソ連は91年9月、3国の独立を承認。同年12月25日のソ連崩壊につながった。大国ソ連に対抗し得たのは、世界的な民主化の潮流、ソ連の内部崩壊、メディアの力など様々な要因がある。しかし、もしバルトの市民が抑制された非暴力の姿勢を貫かなかったら、結果は違うものになっていただろう。歴史的にドイツや北欧諸国、ポーランドと強い結びつきをもち、2004年に北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に揃って加盟した。

 

 

戦いの歴史を刻む2千の漆喰彫刻――聖ペトロ&パウロ教会

 リトアニアは、豊かな自然と中世の街並みが調和する美しい国で、首都ヴィリニュスは、今も歴史的な街並みが数多く残る世界遺産の街である。14世紀にキリスト教を国の宗教に定め、街にはカトリック特有の柔和な外観を持つバロック建築のたくさんの教会がある。中でも最も美しいのが聖ペトロパウロ教会。壁と天井を埋め尽くす2000以上の漆喰彫刻には圧倒される。白で統一され、ひとつとして同じものがない。17世紀の後半、職人たちの手作業により、30年の歳月を経て完成した。差し込む光の陰影で表情が移り変わるその素晴らしさは、写真では伝えがたいものがある。

◆ロシアからの解放を記念して建造された聖ペトロ&パウロ教会は、ヴィリニュス歴史地区を代表する建物である。

◆教会内部は、壁から天井まで覆い尽くすように2000以上の漆喰彫刻が施されている。

◆教会内部のパイプオルガン

◆聖人、天使、空想の獣、植物、リトアニアの戦史などが描かれた漆喰彫刻は圧巻。

◆大聖堂内部

◆上段:展望台から見るヴィリニュス旧市街、下段左:聖アンナ教会、中:聖ペトロ&パウロ教会、右:夜明けの門

「日本のシンドラー」杉原千畝記念館へ

 ヴィリニュスから西へ100㎞のカウナスは、人口36万人。リトアニア第2の都市で、22年間首都だった。

◆カウナス旧市街

◆左:カウナス旧市庁舎と聖ペトロ&パウロ大聖堂、中:カウナス旧市街、右:日本にはない(?)黒いペチュニア

 ここには、旧日本領事館・杉原千畝記念館がある。第二次世界大戦時、カウナスの日本領事代理だった杉原は、ナチスドイツに迫害されたユダヤ人に日本を経由して第3国へ渡航できるビザを独断で発行し、6000人を救った。日本のシンドラーといわれる杉原がビザを書き続けたデスクで、記念に写真を撮る。杉原の業績を見ていると涙が出てくる。故郷の岐阜県八百津町には今もたくさんのユダヤ人が訪れ、感謝の念を捧げている。訪れた6月4日はリトアニアの父の日。劣化が激しい記念館の外壁はシートで覆われていたが、その後、日本のペンキ職人がボランティアで完璧に塗装したという。

◆杉原千畝になった気分で記念撮影もできる。

◆写真左:杉原千畝のデスク、中:杉原千畝と家族、右:杉原千畝が書いたビザ

 

鎮魂と祈りのモニュメント――十字架の丘

 北部リトアニアの経済、文化の中心地シャウレイは、首都ヴィリニュスから北西に150㎞。その郊外に十字架の丘がある。ロシアに対する蜂起の後、処刑や流刑にされた人々の鎮魂のために、1831年ここに最初の十字架が建てられた。それ以来誰ともなく置いていった十字架は増え続け、その数は5万とも10万ともいわれ、今も増え続けている。抑圧された民族、宗教の象徴として扱われてきた。中には願い事を書いたものもあり、妻も5ユーロ(650円くらい)で木製の小さな十字架を買い、健康と世界平和を祈念する文字を書いて、建ててきた。十字架は、どこの国の人でも、どんな宗教の人でも置くことができる。

◆十字架の丘

 リトアニアは、日本の水田と似た湿潤な平原が広がり、マガモなどとよく似た水鳥が多数シベリアから渡ってくる。コウノトリが民家の煙突や木の上、至る所に巣を作っている。郊外の畑にはアブラナの黄色い花が一面に咲き、視界が黄色一色に染まる。名物料理に、赤い根菜ビーツを使った冷製スープがある。煮込むとピンク色になり、しゃきしゃきとさっぱりして、酸味がある。
 また、リトアニアには、古くから宝石として愛用されヨーロッパの貴婦人たちを魅了してきた名産品琥珀がある。バルト海の底にはたくさんの琥珀が眠っていて、世界の琥珀のおよそ9割はバルト海の沿岸でとれる。

◆アブラナ畑

ラトビア・エストニア編に続く。

 

 

 

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