信貴山断食道場の思い出 9・10・11

      2020/05/17

1965 Nov.8-17

「その時、君は?」【008】 市丸 幸子

 

信貴山断食道場の思い出9 食事中の人は読まないでください^^

私の場合、断食の目的はダイエットですが、もう一つ秘かに期待していたことがありました。
それは長年苦しめられてきた便秘を解消し、体内に溜まっている宿○を出すことです。

宿○とは、便秘のため腸管内に滞留している便や老廃物のことで、人によっては
3~4キロも溜め込んでいることがあるのだそうです。

そして…

キタ━━━━――(゚∀゚)━━━━――!!

待ちに待ったその嬉しい"お知らせ"は、本断食4日目の朝と
引き続き夕方にもありました。

でも、何も食べてないのになぜだろう?

道場長の説明によると、
それまで四六時中胃腸を通過していた食べ物が断食でストップすることで、
つねに何かが詰まっていた臓器内が空っぽになります。
それでもなお食べ物が入って来ないと、腸のヒダヒダにヘドロのようにへばりついて
いた便や老廃物がはがれ落ち、流し出されるのだそうです。そのため、流れをスムーズに
するために、断食中は1日2リットルの水を飲むよう指導されます。

断食で排出されるのは宿○だけではありません。
悲しくないのに涙が出たり、肌の古い角質がポロポロと落ちたり、人によっては
古傷が痛んだり、薬で抑えていた症状が現れる人もいるのだとか。

これは「好転反応」といって、体内が浄化・排毒(デトックス)されることにより、
汚染物質や食品添加物に慣れ親しんだ体が禁断症状に陥っているようなものらしいです。
この時期を過ぎると気分も体も軽くなり、お肌もツヤツヤになります。

私の場合1日600~700gほどの減量ペースが、この日はガクンと2kg減!
いつも堅く張った状態だったお腹がペッタンコになりました。
(*^^)v

 

信貴山断食道場の思い出10 ふらふらと、賽銭箱に近づく怪しのひとかげ

断食体験記はまだ続きますが、ここでちょっとひと息。
よく聞かれる質問にお答えします。

「断食ってそんなに良いものなら、自宅でやればいいんじゃないの?」
「わざわざお金を払ってまで、道場に入らなくたって…!?」

誰でも、そう思いますよね。
でも、これがなかなか難しい。理由はお金です。お金を持ってると決心がゆらぎ、
つい「断食は明日からしよう」ってことになるんですよね。
道場に入所する時、所持金はすべて没収となって不満ですが、実はこれが断食を
成功させるポイントの一つなわけです。

何故お金がポイントなのか、私の体験をお話します。
あ~いやだ、恥かしいから言いたくない! でも言わないと分からないし…(笑)

あれは本断食3日目だったかな。
空腹のあまりノートに食べ物の絵を描いたり、キッチンでリンゴの皮あさりに
失敗した私は、山上にある朝護孫子寺の参道に散歩に出かけ、またしても人の道を
踏み外してしまいそうになりました。
道に100円玉でも、落ちてないかと思ったわけですね。

そして、たどり着いた縁結び観音の賽銭箱の前。ドキドキ(●>_<●)ドキドキ
その時は、観音様の祟りなどに思いを致すゆとりもありません。

きょろきょろと、あたりを見回す不審な人物が一人。
でも……期待したことは起こりませんでした。

もしあの時、賽銭箱のふちに千円札でも引っかかっていたら、どうなっていたことやら!
私のことだからきっと、メロンパンか何か、いかにもな食べ物を買い喰いしていたに
違いありません。

そして… 
「断食中の女子大生、賽銭ドロ! 取調べに・・・だって、お腹が空いてたんですもん…」
こんな記事がローカル版新聞の片隅に掲載され、親兄弟や母校の名誉を汚す
ことになっていたかも知れませんね。ははは。

あ~良かった、前科者にならなくって!

 

信貴山断食道場の思い出11  ついに「断食の神様」が降りてきた!?

頭痛、立ちくらみ、眠気など体の不調、荒れ狂う食欲との闘いなど
断食で苦しいのは2日~3日目くらいまで。4日目になると、頭の中のモヤモヤが
すーっと晴れ、不思議な活力が湧いてきました。
体のだるさは残っているものの、気分はハイな状態。
苦痛だった朝の散歩も、もっと遠くまで、もっと違う場所も探検してみ
たいという気持ちになったのです。

生まれ変わった体で、大きく手を振りながら歩いていると、
脳内から快楽ホルモンのベータエンドルフィンがジワ~ッと染み出し、
「3日や4日、食べなくても生きていけるんだ!」
「私にもできるじゃないか!!」という自信で胸がいっぱいになりました。
それはまさに、私にもついに「断食の神様」が降りて来たと思える瞬間でした。

気分がハッピーになると同時に、五感が研ぎ澄まされ、クリアになって
いく感覚も味わいました。

山の奥深く流れる岩清水の音、小鳥のさえずり、朝霧にかすむ鳥居の
鮮やかな朱赤、雨の中に萌えたつ若葉の香り、風のざわめき…。
あーこれが、天が絵筆をもって描くと称される自然の美しさかと、新鮮な感動
につつまれたのです。

この感覚を呼び込み、創造力をインスパイアするために、              
アーティストや画家、作家などクリエイティブな仕事をする人に、断食を
定期的に行っている人も多いのだそうです。

でも一番面白かったのは、感情の表れ方が極端になったこと。
誰かが廊下で滑って転んだといっては

 (=⌒▽⌒=) ニャハハハ♬ と大笑いしたり、
夜空の星が美しいといっては、ボロボロと涙が出てきたり…。

断食の諸症状をひと通りストレートに出して見せる私に、先輩方から、
「はぁ~、あんたは本当に分かりやすい人やねぇ~!」
と言われる始末なのでした。

 

 

 

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