信貴山断食道場の思い出 16・17・18

      2020/06/15

1965 Nov.8-17

「その時、君は?」【008】 市丸 幸子

※毎月10日・20日・30日に原稿更新中です。

 

信貴山断食道場の思い出16  ドラマ化するなら道場長の役は井浦新がいいな! 

前回、断食でアルコール中毒を克服したシングルマザーを紹介しましたが、
同じ断酒が目的でも、大阪から来ていたある食品輸入会社の70代超の社長さんは
もっと陽気で話を聞いているだけで楽しい人でした。

彼の1日の標準的なスケジュールはというと・・・
昼前に出勤して、収賄容疑(?)の代議士が主催する禊のパーティー(推測)に出席。
社に戻って秘書をナデナデ(推測)したあと、夜は料亭で海外からの要人と会食・・・。
もちろん、移動は黒塗りのハイヤーでドアtoドア。

そんな美食と運動不足の生活がたたり、ついに主治医の指示で断食道場に強制収容
されることに! 初めは渋々やって来たものの、今ではすっかりはまって、もう20年以上も
月1の週末断食で断酒と全身のオーバーホールを続けているとのことでした。

「断食の何が楽しいか言うとやねぇ・・・下界に戻った時、最初に口に含む酒の旨さ、
肴のピチピチ具合といったら、もうたまりまへん! 断食はこの世で一番の至福のひととき
への招待状みたいなもんなんやで・・・」ですって!!

他にも沖縄から京都に撮影に来た帰りに、ふと奈良に立ち寄って、神秘的な信貴山の
魅力に取りつかれてしまったカメラマンとか、会社をつくってはつぶし、つくっては
つぶしを繰り返し、それでもめげずに事業を始めるたびに道場に願掛け(?)に来る若い起業家
だとか・・・。道場には人間のドラマがいっぱいです。

もしも断食道場を舞台にTVドラマを制作したら、長く続く人気のドラマになる
のではないでしょうか。

そのとき要になる道場長のキャスティングは、誰がいいかなぁ?
やはりカッコイイだけじゃダメ、深い教養と人間性にあふれているのはもちろんのこと、
過去にちょっとした秘密の陰を隠していそうな人、東洋的な神秘を感じさせる人がいいな。
監督(市丸)の一存で、井浦新とか加瀬亮なんてどうだろうか。

◆井浦 新

◆加瀬 亮

 

信貴山断食道場の思い出17  山や樹木に宿る「気」にパワーを貰って 

断食中は筋肉を落とさないようにとのアドバイスを守り、できるだけ
外に出て、体を動かすよう頑張りました。

信貴山は、全山が朝護孫子寺というお寺の境内。
以前にも書きましたが、かつては修験者が修業をした霊場で、風水的に見ても、
良い「気」が流れ込みやすい場所だとか。
そのせいか散歩の途中でも、「樹林気功を愉しむ会」とか「樹林ヨガ同好会」といった
集会をよく見かけました。

山内には、樹齢数百年という巨木に覆われた石畳や、紅葉が美しい鳥居道
全国の信者から寄進された献灯が立ち並ぶ参道が縦横にめぐらされ、
目を愉しませてくれる散歩道にはこと欠きません。

特に何百段もの石段を登ってたどり着いた、山頂の参詣所から見た
眺望は絶景! 下界の街並みには変わらない日常があり、でも私たちはいろんな
悩みを抱えてここにいる・・・。

なぜかふいに、「悠久の時の流れ」とか「私は日本人!」という思いが胸に迫って、
息を切らしきゃあきゃあと楽しく登ってきた仲間たちも一瞬黙り込み、
息を呑むほどの感激でした。

早朝に荷物も持たずウロウロしてる人間は、ひと目で道場生と分かるらしく、
境内を清掃中のおばちゃんや社務所の人たちから「頑張ってね!」と励まされた言葉も、
心に染みて忘れることができません。!

ダイエットという、ちょっとした出来心(笑)で参加した断食道場でしたが、
さまざまな出会いや学び、気づきを経験させて貰った二十歳の私。

でも、今の私ならどうだろうか? あの頃より経験を積み、“大人の知恵”など身につけて
しまった現在の私だったら、何を感じ何を学べるのだろうか? それを確かめるために、
もう一度ぜひあの同じ場所に立ってみたいと願う今日この頃です。

 

信貴山断食道場の思い出18  脂肪という全身タイツを脱ぎ捨てると・・・

さて、断食中の体の変化についてですが・・・。
体重は、1日700g~800gのペースで着実に落ちていきました。

宿○が出た後(この時点で3キロ減♬)は、はっきりと体が軽くなった感覚があり、
気分もすっきり。朝の散歩を欠かさず頑張った甲斐もあり、長年溜め込んだ脂肪の塊り
(というか、脂肪でできた全身タイツを何10枚も重ね着したようなもの)を、
1枚ずつ脱ぎすてていく感覚が何とも言えず快感!! 

ついに、ついに! シベリアの永久凍土のように不滅と思われた、
私の体脂肪に大きな杭が打ち込まれて・・・脂肪がジャブジャブと流れ出ていくような
感覚を味わうことができたのです。

聞いてみると、私みたいに食べ過ぎが原因で、脂肪が堆積した単純デブは一番
痩せやすいのだそうで。見た目は普通でも、高血糖・高脂血ぎみの“隠れ肥満”の人は、
原因が複雑に絡み合ってるだけに体脂肪も落ちにくいとのことです。

グルメ界はさておきダイエット界では、とろけるような霜降り肉は不利。
私のような安い肉の方が痩せやすく有利というわけです。
良かったぁぁ~、米沢牛じゃなくって!
d(⌒o⌒)b♬

脂肪が剥がれ落ちていくと、まあ不思議!
生まれつき(と思い込んでた)キューピー体型にくぼみができ、
骨格らしいものも少しずつ形を現していきました。
あ~肩甲骨、骨盤、大腿骨・・・。

生まれて初めて下っ腹の骨を探り当てた時のあの手触り、あの感激
は今でも忘れることができません。

そして何と! 脂肪の全身タイツの中から現れたのは、グラビアアイドル風の
ちょっといい女だったわけです、むふふ。

そうなると毎日鏡を見るのが楽しくなり、お風呂でも一人でグラビア撮影風のポーズを
決めてみたり・・・。むふふふふふふふふふふふふ。
浴室の天井に、いつまでも低く不気味な笑い声が鳴りひびいていたのでした。
(゜_゜i)タラー

 

 

 

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