万葉集から演歌まで 好きな詩・短歌・俳句・歌詞を教えて下さい。  ( 019 シャボン玉 020 仇浪騒ぐ濁り世の 竹田範弘 )

      2021/08/19

竹田 範弘

 私たち夫婦には2男1女の子がいます。末娘の出産数日前の検診で「逆子になっている」ことが分かり、手術承諾書も提出しました。対処の説明は受けたものの何となく不安な日々でした。

 職場で部屋から外の踊り場に出て、喫煙しながら真夏の青空を眺めていた時、ふと「シャボン玉」の歌が胸の中に聞こえて来ました。小さく口ずさみながら、「風、風、吹くな」に力を込めて歌い、無事な誕生を祈りました。妻より後になった娘の退院まで歌を続けました。

 

 その後、野口雨情の心情※を知るに至り、「何故この詩が私の胸に湧き出て来たのか」を合点しました。私には特別な童謡です。娘は元気に育ち、3人の子に恵まれて幸せに暮らしています。

【※編集部注】 少女たちがシャボン玉を飛ばして遊んでいるのを見た雨情が、幼くしてなくした娘を偲んで書いたのが、この「シャボン玉」だという説が知られている。

シャボン玉  1923年  作詞:野口雨情  作曲:中山晋平

シャボン玉飛んだ
屋根まで飛んだ
屋根まで飛んで
こわれて消えた

シャボン玉消えた
飛ばずに消えた
うまれてすぐに
こわれて消えた

風、風、吹くな
シャボン玉飛ばそ

 

もう一つ、こちらの曲も大好きでよく口ずさんでいました。

仇浪騒ぐ濁り世の 1907年(明治40年) 作詞:岸 巌 作曲:内海 磐夫


仇浪騒ぐ濁り世の 汚れを永久に宿さじと
春や昔の花の香に 結び置きけん友垣や
十七年の東風吹けば ゆかしく萌ゆる若緑

※二、三番略


友の憂ひに吾は泣き 吾が喜びに友は舞ふ
人生意気に感じては たぎる血汐の火と燃えて
染むる護国の旗の色 から紅を見ずや君

※五番略

 この詩・曲を防大学生時代に覚えました。曲も良く四番が大変好きになり、直ぐ覚えて、よく口にして来ました。友人の結婚式でも歌わせてもらったことがあります。でも、誰から教わったのかが明確には記憶にないのです。多分、情操教育の狙いで配られた歌集の中にあったものだろうと思っています。

 作者等は覚えないままでした。今回投稿しようと思い調べてみて、「旧制第一高等学校寮歌で、明治40年第17回紀念祭東寮寮歌」ということが分かりました。好きでたまらず歌っていたのですが、知ることが出来てよかったと思っています。ネットで検索すれば聴くことが出来ます。

 

 

 

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